iMiEVへの賛辞

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初めてプリウスが発売された頃、おいらはアメリカを一人旅していた。
たまたま新聞に載っていたプリウスの記事を見て、レストランのオヤジが話しかけてきた。

『日本はなんかすげぇクルマを作ったな』

だって。
そのオヤジは、いくら燃費が良くてもデカくなければアメリカで売るのは難しいな、ってなことを言っていた。
燃費より、快適に走れることがアメリカでは重要だった頃の話だ。

“21世紀に間に合いました”

でも、あの頃のトヨタは、最高にカッコ良かった。
プリウスは実用車として燃費を飛躍的に向上させ、それがステイタスに成りうることを証明してみせた。
あれから12年。
クルマの歴史に、また新たな一歩が刻まれた。
世界初の実用的なEVであるiMiEVを三菱が発表した。

クルマが新しいステージに入ったということで海外でも大きな話題になっている。
こうしたニュースが日本から発せられ、そこに居合わせることができたというのは、誇らしいと思うと同時においらはラッキーな時代に生きてるな、と思う。

459万9000という値段がどの程度現実的かという点については議論が分かれるだろうが、助成等で実質300万円程度ということであれば、量販車種としての資格はかろうじてあると言えるんじゃなかろうか。

EVといえば海外ではテスラが話題を振りまいているが、さっそくリコール勧告が出たりと、まだまだ実用的なクルマとして疑問符がつくような状況だ。
その意味では、自動車メーカーが過去のノウハウをつぎ込んで完成させたiMiEVは、正直なクルマという見方もできる。
(リコール隠しの三菱というのはなんともアレな話だけどね)

iMiEVを普及させるためには充電インフラの整備というプリウスにはなかった課題が存在するわけだが、インフラ整備が先かEVの普及が先かなんてことにならないように、三菱グループが全面的なバックアップを行うそうだ。
一例としては、ローソンの駐車場に充電スタンドを併設したり、営業車にiMiEVを採用したり、とかね。

当面の法人向けリースによってこうしたインフラ整備を促進し、来年4月からの一般販売に向けて少しでもリスクを減らしておこうという段階的な戦略は理解できる。

が、一度走り始めたら勢いを落とすわけにもいかないわけで、新車種の投入、低価格化、バッテリーの効率化による航続距離のアップというクルマとしての魅力を上げ続ける努力と、充電インフラを整備して誰もが安心して乗れる環境づくりといった施策を次々と打ち出していかなければならない。
施策が散発的になると、せっかくの先行者利益を十分享受する前に他社の追従を許すことにもなりかねない。
そこまでの覚悟と体力が三菱にあるのか?

世の中がEV全盛時代になった時、そこに三菱の姿はないのかもしれない。
でも、iMiEVが踏み出した第一歩はクルマの歴史にしっかり刻まれることだろう。
って、それじゃホントはいけないんだけどね。
とにかく、iMiEVが欲しい!と思わせるだけのパフォーマンスを見せつけてもらいたい。
恐らく、次の次ぐらいの買い替えでは、EVは十分選択肢に入っていることだろうから。

などと、前日発表のアレは華麗にスルーしてiMiEVを褒め称えるおいらだったのでした。
 

この記事へのコメント

  • 凡侭

    EVインフラについて、日産はバッテリー共有化で交換する方式を選択したみたいですね。

    急速充電に限界がある今の技術では理にかなっているとは思いますが、どうなることやら。

    10年後が楽しみです。
    2009年06月06日 13:14

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