輸入車市場は“基準値70%”で見よう

  
3月の輸入車販売状況が出ますた。
インポーターの決算は年末ですが、ディーラーの多くは3月決算のところも多く、年度の締めの重要な月にどれだけ販売できたかという点が、2009年度の行方を占う大きなカギとなるわけです。

で、概況としては乗用車に関しては20,655台ということで前年対比73.1%と、やはり3割近く数字を落としています。
これで日本の自動車市場のだいたいの規模がわかりましたね。
つまり、前年対比-3割が、2009年度の市場ということになるわけです。

2008年次が20万台割れとしてニュースになったわけで、さらにここから3割縮小となると、2009年の予測は15万台を確保できるかどうか、という極めて厳しい状況になるわけですが、普通ビジネスの市場が3割縮小したら、まずは経費削減に努めます。そして将来的な展望と自分たちの体力を測りに掛けて、どうするべきか考えます。

 (1)じっと耐えて嵐が過ぎ去るのを待つ者。
 (2)あえてチャンスと見て積極策を打ち出す者。
 (3)誰かに事業を譲渡することを考える者。
 (4)もうやめちゃおうか?って投げやりな者。


こんな感じでそれぞれのスタンスを決めるわけですが、各社ぼちぼち温度差が見え始めてますな。

市場が30%縮小したという事実を外的要因と捉えると、まぁ前年対比70%まではしょうがない、という発想の転換ができるわけです。
つまり、70%を基準値として、それより高ければ、悪い状況の中ではまだマシという事ができるわけです。
逆に、70%を下回ると、そりゃもう大変ってなことになるわけです。

そうした観点から今月の数字を見てみるとおもしろい傾向がわかります。
VWとメルセデスは、(1)の施策を取って耐え忍んでますが、なんとか70%をキープしています。
中でもVWはモデル末期のポロがバカ売れ状態で、ポロの販売分がメルセデスとの勝負を決めたということが出来ます。コンパクトカーを持っているところは強いですね。

3位のBMWも同じく(1)の施策を取っているものの、38.9%のマイナス。
どこに原因があるかと言われれば、ユーザー層としか言いようがないだけに、今後も厳しい状態が続かざるを得ないですな。
その分高額車の販売で利益を稼ごうとしているみたいですが。

4位アウディと、5位のMINIは相変わらず勝ち組ですな。それぞれ-3%、-13.9%で済んでいるところからも、その好調振りが見て取れます。
立場的にはBMWと同じようなもんですが、商品力が強いというのはこういうところで強みを発揮するわけです。
BMWが商品力弱いとは言いませんが。

で、第三勢力であるボルボさんとプジョーさん。
それぞれ-35.2%(V)、-42.9%(P)と今月も散々な状況であります。
ただ、ボルボは(2)の施策を取っており、その分販売台数を上積みさせてきています。
例の300万以下のPowershiftシリーズの効果が出てくるのはもう少し後な気がしますが、それでも830台というのは頑張ったほうだと思います。
プジョーさんは(1)の施策ですな。
じっと耐えているというより、“打つ手なし”という状況であるため、決して褒められたもんじゃありません。
6月には308ccが発表になりますが、趣味性が高いクルマゆえに数はそれほど売れないため、量販のための施策を何かとらなきゃいけないと思うんですが、どうなんでしょうか?

今年の販売目標はシトロエン1500台とプジョー6500台=8000台ですが、シトロエンは対目標比80%以上とほぼ同じレベルで推移しているのに対して、プジョーさんは今のペースだと5000台にも届かない可能性が出てきてます。

その分サービスで稼ぐんだろう、なんて事を書きましたが、そうも言ってられないじゃないかと心配になってきます。
その割にはディーラーの切迫感というのをあまり感じないのが不思議なところですが。
 

その下を見ていくと、また好調なメーカーがいくつか目に付きます。
フィアットはどれも5ナンバーサイズのコンパクトラインナップのため、おしゃれクルマとしてのポジションを明確に出来たことで台数を伸ばしてますね。
(2)の施策で頑張っているわけですが、やりようによっては数字を伸ばせるという、輸入車メーカーにとっては微かな希望の星と言ってもいいでしょう。

その下は誤差みたいなもんですが、ルノーが地味に前年ほぼ同水準で推移してます。
構成を見てもカングーのおかげとしか言いようがないわけですが、モデルチェンジまでもうあまり時間が残ってない中で、どれだけ数字を伸ばせるんでしょうか。
(3)の施策の話がチラついているようですが…

そしてここ最近の謎であるヒュンダイの好調。
過去のエントリーでも指摘してくれた人がいましたが、この動きはどう考えても法人需要ですな。
沖縄のレンタカー会社で導入されているなんて話があったのですけど、確かにこういうの見ると、そうなんだろうなぁって思います。

この辺、ヒュンダイに直接聞いてみようかな。

そんなわけで、月販200台程度までのメーカーを見てきたわけですが、今後の輸入車市場を見る上でのキーワード“基準値70%”って観点から見ていくと、けっこう面白いですよ、なんてことを書いて今月の総括とします。
 

この記事へのコメント

  • なおなお

    >ポロがバカ売れ状態で

    はい、売り上げに貢献させていただきました。
    先週末にVWディーラーに行ったけど、
    納車待ちの車があふれていたよ。
    ポロだけじゃなくて、ゴルフやティグアンもあったな。

    善戦しているんじゃないかな>VW
    2009年04月08日 21:16
  • わかりやすい説明ですね。
    そう考えると、わがルノーはしばらくは大丈夫ってことなのかな?
    2009年04月08日 23:05

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