昨日の日経新聞一面を飾ったこのニュース。
三菱自、次世代電気自動車を仏大手に供給
次世代電気自動車というのは、三菱自動車がある意味社運を賭けて開発中のiMievのこと。
三菱自動車とPSAの関係を考えれば割と当たり前の展開だと思っていたのでそれほど気にしていなかったのだが、日経様としてはトップで扱う大ニュースということらしい。
世界の自動車メーカーが独自開発に余念のないEV。
しかし、ここ最近の経済情勢から自社開発より外部調達の方が効率が良いという判断をPSAが下したということになる。
EVに関してPSAはあまり積極的な開発は行なっていなかったので、こうした方針は比較的すんなり決められたのではないだろうか。
PSAと三菱自動車はアウトランダーのOEM供給において既に関係が構築されており、その流れの中でEVに関する提携話はかなり以前からしていたことは間違いない。
問題は、三菱アウトランダーをOEM供給により4007&C-Crosserとして販売するに際し、外観デザインから足回りの調整まで独自色を出すための開発に2年近くを要したことにより、販売機会をロスした反省をどうやって活かすのか。
独自仕様に関する開発は最小限に留め、まずは迅速に市場に投入することが今回の提携効果を一番有効に発揮する方法ではないかと思う。
計画では2010年の早いタイミングに供給を開始し、2011年には年間10000台以上の供給予定ということもあるので、スケジュールからすると独自開発の要素は外環の小変更程度に収めることが予想される。
幸いなことにiMievのデザインフォルムはプジョー&シトロエンとの親和性が高い。
極端な話、フロントに各ブランドのバッジを付けるだけでも十分なんじゃないかという気がする。
それよりは、EVとして欧州の道路を走るのに実用的なコンピュータのプログラミング調整に時間を掛ける事の方が重要だ。
というのも、iMievはまだ日本でも販売開始されておらず、充電スタンドという社会インフラの整備も含めて未知数な要素が多い。
欧州での販売に際し最も懸念されるのが、日本とは異なる交通事情に対応できるのか?という至極当然ながら最も重要な疑問だ。
iMievの主要緒元を見る限り、1回の充電での航続距離は10・15モードで160kmということになっている。
ガソリン車の場合は10・15モードの6~7掛け程度が国内都市部における実燃費というコンセンサスが出来上がっているが、EVの場合はこうしたコンセンサスが一切無い。
もちろん実証実験を繰り返してデータを蓄積していることは間違いないが、一般ユーザーの実用データが集まらないと、EVとして本領発揮できる余地があるのか判断がつかない。
話半分として実走距離は100km程度と考えればまずは都市部での通勤用途での導入などから始まるんだろうが、欧州の家庭用電源で7時間、専用の急速充電装置を使っても30分で8割という利用上の制限を、社会インフラの整備でどのように解決するのか。
とはいえ、せっかく日本発の技術が欧州で花開こうとしているのだから、成功することを切に祈りたい。
発売まで1年ちょっと。
実用的に使えるようなクルマに熟成させることに三菱自動車は最善を尽くして欲しいし、やると決めたからには中途半端ではなく政府を動かして社会インフラを整備させるような勢いをPSAグループには期待したい。
(worldcarfan.comの記事によると、フランス政府はEV購入に際し最大5000ユーロの助成金と税制優遇を与えているようだ)
国内でも神奈川県がEVの関してかなりの助成金を出しているので、おいらもiMievを検討したいところではあるのだが、マンションの立体駐車場や畑のど真ん中にある未舗装の駐車場では充電用の電源が確保できないため、今のところ打つ手なし、という状況。
早いところ社会インフラの整備が進むことを願うのみ、である。
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