2008年の輸入車市場を振り返ってみる

JAIAの12月データが発表されますた。
これによって、2008年の販売状況がFIXされたことになりまつ。

概況によると、乗用車に限ってみた場合、2008年の輸入車販売台数は192317台。前年対比で-16.4%とかなりの落ち込み。
国産車の落ち込みと比べてもかなり下げ幅が大きく、輸入車市場が縮小の方向に動いている流れを止めることができておらず、環境は非常に厳しいと言わざるを得ない状況。

2008年のメーカーランキングでは、準一万台クラスのメーカーではメルセデスとBMWの順位が逆転した以外は昨年どおり。
トップ3は別格として、1万台を確保したアウディ&MINIの健闘が光るが、Volvoはついに1万台割れ。プジョーと共に第3勢力を形成中。
意外なのは量販車種を持たないポルシェが3864台も販売して8位に着けていること。
恐らくはカイエンの貢献が大きいのだろうが、昨年からの下落率も-10%程度で済んでいるので、この状況の中では勝ち組と言えるんじゃないだろうか。

全般的に見て、前年対比-10%以内で抑えているメーカーはその戦略がうまく行ったと言えると思う。
スマートみたいに前年は売るものが無くて、いきなり+634%というは例外として、アウディのように販売ラインナップに大きな変更が無いにも関わらず数字を伸ばしているところと、ボルボやプジョーのように新規車種を投入したにも関わらず大きく数字を落としているところとハッキリ差が出ているということになる。
中堅以下ではアルファロメオやフォード、シトロエンの落ち込みが激しい。
リカバリーのためには魅力ある車種の投入が欠かせないが、これらのメーカーもあまり期待を持てないところがツラい。

Rank
 メーカー2008年実績
 前年実績前年対比
 01位 VW 45,522 51,971 87.6%
 02位 Mercedes-Benz 37,001 46,802 79.1%
 03位 BMW 35,945 47,103 76.3%
 04位 Audi 16,040 15,224 105.4%
 05位 BMW MINI 12,744 14,013 90.9%
 06位 Volvo 7,531 10,960 68.7%
 07位 Peugeot 6,171 8,284 74.5%
 08位 Porsche 3,864 4,204 91.9%
 09位 Fiat 3,381 1,750 193.2%
 10位 Ford 3,139 4,589 68.4%
 11位 Jeep 2,352 2,532 92.9%
 12位 Renault 2,251 2,470 91.1%
 13位 Alfa Romeo 2,205 3,841 57.4%
 14位
 Jaguar 2,143 2,319 92.4%
 15位 Chrysler 1,588 2,334 68.0%
 16位 Citroen 1,496 2,336 64.0%
 17位
 Dodge 1,378 1,170 117.8%
 18位
 smart 1,111 175 634.9%
 19位
 Land Rover 957 1,436 66.6%
 20位
 Cadillac 834 602 138.5%

円高が進むと輸入車を買う環境は良くなるのが普通だが、国産車が欧州での販売を見越したクルマ作りをするようになったことで輸入車との技術的な差は少なくなりつつある。
ブランド価値(≠プレミアム)を高めつつ、如何にその違いをアピールするかというのは、2009年の輸入車ディーラーにとって最も重要な課題なんじゃなかろうか。

とかいいつつ、ヒュンダイが実質的な撤退モードに入ったのと同様、ムリに日本での販売に尽力するんじゃなくて撤退を選ぶメーカーもいくつかは出てきそうな予感ですな。
 

この記事へのコメント

  • しの@1.6HDi

    初めまして。以前より楽しく拝見させて頂いております。
    オペルに続き欧州フォード、ヒュンダイ・・・次に日本市場から撤退するのは何処でしょうか?これだけ経済のグローバル化が言われている時代に、クルマのマーケットだけは何故かガラパゴス化が進行中のような気がしてなりません。
    生産国やブランドと言う枠組みを超えて、自分の好みで自由にマイカーを選べる時代は、一体いつになったら訪れるのでしょうか。。。
    2009年01月08日 20:35
  • 海鮮丼太郎

    書き込みに気づくのが遅れ、コメントが遅くなりまして申し訳ありません。

    当BLOGをご覧頂きありがとうございます。

    クルマのマーケットがガラパゴス化…というのは非常に的を射た表現ですね。
    確かにその通りだと思います。

    日本の道路&駐車場インフラというものが、それほど大きなクルマを許容できる設計になっておらず、結局はそれを基準として全てを考えなければいけない状況が一つあると思います。
    そうでなければBMWがわざわざ3シリーズのマイチェンで全幅1800mm以内に収めてきたりはしないですよね。
    個人的には、この部分がガラパゴス化の根源であるという気がしております。

    反面、アメリカなどの道路を走ってみると、幅2500mm程度のクルマでも余裕のある道路設計。
    土地があるということは、かくも豊かなものなのかと痛感させられました。

    また、クルマのパフォーマンスを抜群に発揮できる環境が少なく、クルマを愉しむというより、ストレス無く移動できる乗り物が好まれるというニーズも、世界の趨勢とのミスマッチを感じます。
    これが悪いことというわけではなく、このニーズに応えようとしたからこそ軽自動車や燃費の良いコンパクトカーの技術力が上がり、それが結果として世界でも競争力を持つ原動力になったとも言えるわけです。
    国によって道路や運転環境が異なるため、その地域に適した車種を投入できないのであればグローバル化という流れにそれほど意味は無いと思っています。
    インドなどアジア各国向けに専用車種を開発しているスズキは、その意味ではグローバル化の良い手本という気がしますね。

    一方で、現在の日本は世界一クルマを買う環境に恵まれてるとも言われています。
    これほどインポーターがひしめき、正規でなくても並行輸入で面倒を見てくれる業者がいるということは、ある意味幸せなことだと思います。
    本来であればフィアット500アバルトが普通に買えるなんてことは、涙流してありがたがらなければならないことなのですが、それが普通になってしまっているところが怖いですね(笑)

    こうして要求ばかりエスカレートしたために、ある意味体力の無いインポーターの息切れが始まっているのがここ数年の状況だと思うわけです。
    やはり、数が売れてこそのビジネスなので、買いもしない客のためにコストを割いて展開する意味はないので、この辺の見極めをどうするのか。

    ビッグ3のブランド集約なんていうのは当然のこととして。
    ランドローバーやジャガーは、ステイタスシンボルとして一定の販売が期待できますが、ビジネスを維持できるボリュームではないと思います。
    撤退というか、日本法人を引き上げてヤナセやCORNESなんかに引き継ぐケースが増えそうな気がしますですね。Hummerなんか見てるとそんな気がします。
    だから、オペルみたいに買うことができなくなるという最悪の事態に陥るブランドは、そうそう無いと思いますが、ひょっとするとルノーに関してはなんかあるかもしれないですね。
    日産がアレな状況ですので。

    ってことで、長々と書いてきていったい何が言いたいんだかわからなくなりましたが、こんな感じでよろしいでしょうか?
     
    2009年01月13日 15:22

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