次回はがんばれ、ラリージャパン

 
札幌ドームに爆音響く 集客や運営に課題も

WRCの中継を見たが、確かに札幌ドームでのスーパーSSは、観客の入りが客席の3割程度しかおらず閑散としている印象を受けた。
今回のラリージャパンが盛り上がらなかった原因は2つあると思う。
ひとつめは開催時期の問題、そしてもうひとつはチケット価格の問題だ。

そもそも、今回のラリージャパンの日程は、当初予定されていたより1週間遅れての開催になったとの事。
その理由として、プロ野球のクライマックスシリーズとのバッティングを避けるため、ということだったらしい。

ただでさえ娯楽の少ない北海道にあっては、こうしたイベントの時期を調整するという判断もわからないでもない。
しかし、北海道の10月末といえば、気温は0℃近くまで下がるし、観光シーズンからも大きく外れてしまう。
札幌ドームという屋内競技であるプロ野球と、ラリーという屋外、しかもかなり山奥での開催も含まれる競技とを同列にして考えてはいけないんじゃないかと思った。

実際、一部のSSでは競技中に雪が降り出すほどの寒さになっており、観戦条件としては最悪とも言える状況だった。
もちろん、雪上ラリーはシーズン開幕時にもあったりするので、それがいけないというわけではないが、まだWRCが文化として根付いていない日本においては、まず観戦環境を一番に考える必要があるんじゃないのか。

特に、本州から北海道まで観戦に行こうと考えた場合、単にWRCだけではなく、何かプラスαの目的を設定したい。
その多くは観光目当てということになるだろうが、10月末はすでに北海道の観光シーズンは終了している。
かといって、スキーができるほどの状況でもない、極めて中途半端な時期だったりする。

ラリージャパンの前身、ラリー北海道は9月中旬に帯広で開催されていた。
この時期だったら、「秋の北海道観光も兼ねて行ってみるか」という気にもなるもんだが、9月中旬はすでに晩秋の趣となっており、キャンプ場でテントを張ったら朝の気温が8度で震えながら起きた記憶がある。
それほど北海道の冬の到来は早いわけで、そんなところに積極的に観光客を集めようとするならば、ラリー北海道のようにせめて9月中旬、もしくはもっと季節のいい夏に誘致するような方策が必要だったんじゃないかと思う。

もうひとつはチケット価格の問題。
チケット発売開始のアナウンスがあったので価格をチェックしたら、どうにもわかりにくい。
札幌ドームでのスーパーSSでは各日ごとに4800~6800円(前売)が必要となるし、各SSでもそれぞれ料金が発生するという、お大尽価格となっていた。
また、全日程通し券の発売がないことが、さらに割高感を強める結果になっている。
ちなみに、今年のF1のチケットは、3日間通し券で11000円(自由席)~71000円(メインスタンド)といったところだ。ラリージャパンの割高感が否めない。
サーキット周回レースではないため、どうしても待ち時間など間延びした観戦スタイルを取らざるを得ないWRCであれば、チケットの価格は今の半額程度、もしくは全日程通し券を10000円程度にするなどして、まずは観戦のための間口を広く取ることが重要なんじゃないか。

確かに、札幌に開催地を移すことでアクセス面での不便さは解消された。
夕張や苫小牧でのSS設置など、うまく運営できれば地域振興にも一役買うことができる可能性も見せてくれた。
しかし、開催時期とチケットの価格という問題点が、すべてを台無しにしてしまった気がして残念でならない。

FIAの発表によると、2009年のラリージャパンの開催は見送られ、2010年9月に開催されることになりそうだ。

今回の教訓を活かし、せっかく根付きはじめたラリーという文化を、うまく地域の振興と絡めたイベントとして成功に導いてもらいたい。

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