Wiiでもコミック配信

 
漫画大手4社、Wiiにコミック作品配信

電子書籍、特にコミックの電子展開に関しては、コンテンツの権利を握っている出版社の意向が最大の影響力を持つ。
その出版社が自ら動いた。
でも、Wii向けっていうところはどうなんだろう?

ケータイに関しては、コミックサーフィン(セルシス)ならびにXMDF(シャープ)というビューアが定着したこと、なによりケータイという数千万台の市場があるからこそ、各社各様に参入してコミックを展開している。
それが355億という市場を形成した原動力であることは間違いない。

で、残されたプラットホームはなんだろう?と考えた場合、ゲームプラットホームというのは残された最後のフロンティア、といえなくもない。
ゲーム機メーカーからもアプローチがあったことだろうが、出版社自らがWii向けにコミック配信事業を立ち上げるという話。
DSvisionに配慮してか、WiiWareの形式で配信をすることになったようだ。

今回の発表の主導権を誰が握っているのか興味があるが、トーセが開発するとなると、コンテンツの量産は難しいんじゃないか、と推測する。
その理由とはこうだ。

WiiWareとしてリリースするということは、コミックを単体のアプリケーションとして動作するような制作方法をとることになる。
その分、コマの見せ方や演出などはWiiのインターフェイスをフル活用することができ、ある程度リッチなつくりになることが期待できる。
逆に言えば、1作品あたりの制作コストが結構かかりそうだ、ということ。
(ある程度テンプレート化することで制作工程の簡略化は可能だが、それでもビュアー向けに書き出せばよいケータイ版などに比べると工数は増えざるを得ない)

ケータイコミックは、2つのメジャーファイル形式に対応するツールも充実し、量産体制も確立されているので1話数十円という値段で販売することができる。
これによりコンテンツが爆発的に増え、それが客を呼び込み市場が拡大する好循環が出来上がっている。

DSvisionに関するエントリーでも書いたが、独自形式でのコンテンツ制作は、高コスト体質になりやすく、またコンテンツを量産するための体制を取りにくい。
初期投資が高くなるため、多くの作品をラインナップするためには負荷が掛かりすぎ、それが結果としてサービスイン時のラインナップの見劣りにつながる。
DSvisionのラインナップがパッとしない理由はこんなところにもある。

このご時世、ネットの反響などを考えると、スタート時のラインナップでサービス全体の評価を下される傾向があるため、何事も最初が肝心なのだが、上記のとおりケータイ並みのラインナップを期待することは難しいだろう。
加えて、ただでさえチャネル数が増えてごちゃごちゃし始めたWiiメニューにあって、コミックを積極的に買おうといおうユーザーがどれほどいるのか。

とりあえずトーセのお手並み拝見といきたいところだが、あんましマズい前例を作らんで欲しいという気もする。
メジャーフォーマットで対応して、コンテンツが量産されやすい状況にした方が遥かにユーザーおよび市場のためでもあると思うんだけどね。
 
 

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