パン屋が魂を売り渡した

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おいらの最寄り駅にはパンの神戸屋があって、会社の帰りに小腹がすいた時に焼きたてのパンを買って帰るのがささやかな楽しみであった。
閉店が夜の9時というのも会社帰りに立ち寄るのに都合がよく、かなり贔屓にしていたつもりだ。
さすがに閉店近くになると焼きたてという感じではなくなっていたが、それでもその辺でシュリンクされて販売されているパンに比べれば十分旨いし。

ところがここ数ヶ月間、どうも神戸屋の様子がおかしい。

買って帰ったパンが明らかに硬くなっており、焼いてからかなりの時間が経過したことが窺い知れる。
一時的なものかと思ったが、どうもそうでもないらしい。
ためしに日曜日の夕方に買ってみたら、やはり少し硬かった。
どうも、パンを焼く回数を減らしているようだ。

確かに材料費の高騰や調達困難なバターの問題もあるから、売れ残って時間が経過したパンを廃棄処分にすることはしたくないというのが本音だろう。
しかし、客が神戸屋にもっとも期待することというのは、焼きたての食感ではないだろうか。
少なくともおいらはそうだ。

時間が経ちすぎてパンが硬くなってることに加え、店頭に並べるパンの種類は減り、単価は上がるというトリプルパンチだ。
お客は正直なもので、おいしいパン屋がおいしくなくなったら、客足も遠のいていく。


“焼きたての食感”はパン屋の魂みたいなもんだ。
店を維持するために、その一番の魂を売り渡してどうする。
近隣の神戸屋がつぶれたなんて話を耳にしたので、この店もなくなる前に改心してくれればいいなぁと思う今日この頃。
とかいいつつ、しばらくはここで買うこともないとは思うが・・・

原材料費の高騰がこんなところにも影を落としていることが正直腹立たしい。
 
 

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