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2017年07月06日

2017年上半期の輸入車市場、全般的に好調

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早いもので2017年も前半を折り返して後半に差し掛かりました。

そんなわけで各業界では今年上半期の総括が盛んではありますが、当BLOGがうぉちしている日本の輸入車市場にも動きがありますのでざっと見ていくことにしましょうか。

まず2017年の輸入車市場のトピックとしては、1997年以来となる年間30万台突破なるか?という非常に大きな話題があります。

またメルセデスの絶好調に代表される高級ブランドの盛り上がりに加えて大衆ブランドも前年に比べてプラスに推移するなど好調の波が輸入車市場全体に訪れています。

その波に各ブランドがどれぐらい乗れているのか?

それが上半期を振り返るうえでのポイントになるのではないでしょうか。


では、具体的に2017年上半期の実績を見てみましょう。
   
2017年上半期(1月〜6月)輸入車登録実績
 2017年2016年前年比(%)
Mercedes-Benz32,69432,236101.4
VW25,59525,079102.1
BMW25,42924,639103.2
Audi13,45814,13795.2
BMW MINI12,46811,810105.6
Volvo7,7026,972110.5
Jeep4,9824,356114.4
Renault4,0072,423165.4
Peugeot3,9423,613109.1
Porsche3,5853,438104.3
Fiat3,3033,54593.2
smart2,5192,173115.9
Land Rover1,6311,73194.2
Jaguar1,5881,290123.1
Citroen1,303861151.3
ABARTH1,234878140.5
Maserati858575149.2
Alfa Romeo72299172.9
DS50861782.3
Ferrari403338119.2
Lamborghini279198140.9
Cadillac25831282.7
Ford2021,30315.5
Chevrolet19322685.4
Aston Martin18799188.9
Bentley184183100.5
Dodge156133117.3
Chrysler13816484.1
Rolls Royce12298124.5
BMW Alpina10719455.2
Lotus9211381.4
Mclaren707297.2
Autobianchi255500.0
Rover2317135.3
Morgan135260.0
Lancia127171.4
Hyundai112550.0
MG73233.3
Pontiac72350.0
Buick65120.0
GMC6785.7
Bugatti1250.0
Detomaso1250.0
Maybach1250.0
Mini1
RUF1
Saab1
Hummer5
PROTON1
Others441147300.0
Total150,476145,009103.8


■このまま推移すれば年間30万台突破の勢い
上記のとおり上半期の合計台数が150,476台となりました。
前年比でも+5,476台(103.8%)となっております。

前年より+2.1%以上で推移で伸びれば30万台に達する計算になりますので、VWのディーゼルゲートのような事件でも起こらない限りは目標達成が見えてきた感じではあります。

しかも今年は東京モーターショーが11月に開催されますので、それに合わせて各社販促を強化することになるでしょう。

その意味で今年の年末は輸入車の購入には好条件が揃っていると言えます。



■息切れするブランド、波に乗れないブランド
日本の輸入車市場をけん引するブランドがVWからメルセデスに変わり、その動向に注目が集まる昨今ではありますが、硬軟取り混ぜたプロモーション展開はメルセデスの目指す購買層の拡大に寄与してきたのは事実でありました。

その拡大によってメルセデスは販売台数を急激に伸ばしてきました。

2010年 107.6%
2011年 107.4%
2012年 126.2%
2013年 128.2%
2014年 113.2%
2015年 107.1%
2016年 103.4%
2017年 101.4%(上半期実績)

しかし昨年は前年比103.4%と頭打ちの傾向が見られ、2017年上半期は101.4%と辛うじてプラスではあるものの、市場全体の伸び(103.8%)を下回っています。

どのブランドにも言えることですが新型車の投入や船便のタイムラグなどの影響で販売台数は大きく変動するものですが、一つの指標として市場の伸びを下回っているというのは注目すべき事態かもしれません。

トップのメルセデス販売が落ち込めば全体に与える影響は大きくなるからです。

急激な拡大路線により一部では登録済み未使用車を中古車市場に流すことで販売をかさ上げしているとの指摘もあり、限界点を超えると一気に悪影響が出てきたりもするものです。

メルセデスはピークアウトしたのか?

下半期を見ていく上でこれが一つのポイントになるのではないでしょうか。


もう一つ波に乗れないブランドとしてAudiの存在があります。

VWがディーゼルゲート事件の影響をようやく払拭したように見える中、その影響をあまり受けていなかったはずのAudiの販売が伸びません。

トップグループの中で唯一前年割れの状況が続いており、一時期の飛ぶ鳥を落とす勢いはどこに行ってしまったんだろう?と関係者でもないのにかなり困惑しております。

ソーシャルメディアを活用したQ2の #型破る のプロモーションはそれなりに話題喚起には成功しているようですが、納車が本格化するのはもう少し先ということもあり、下半期の販売にどれぐらい寄与するのかがよくわかりません。

先日コンテンツ東京2017にてAudiのデジタル&CRMマネージャーである井上大輔氏の講演を聞いてきましたが、非常に明確にマーケティングの戦略を考えている人であり、当方が申し上げるのもおこがましいですがとても才能のある方だと感じました。

この人が陣頭指揮を執っていながらなぜAudiが(現時点では)低調なのか?
本気を出すのはむしろこれからなのか?

とにかくAudiに関しては意味不明なことが多すぎます。

Q2は話題にはなるものの「買った!」という人があまり見当たらないのも気がかりです。

Q2の動向が下半期のAudi回復のカギを握っているだけにこちらも要注目です。




■波に乗ってるブランド
上半期の輸入車市場は市場全体で前年比103.8%です。
つまりそれ以上の実績を上げているブランドは波に乗れていると言っていいでしょう。

トップグループでは相変わらずBMW MINI、Volvoの好調が目立ちます。

ただしBMW MINIは既報の通り今年の東京モーターショーには出展しません。
逆にVolvoは方針を撤回して出展することに決めました。

こうした思惑を伴った判断が市場にどう影響を与えるかは見ものですね。



第2グループでもJEEP、ルノー、プジョーといった大衆ブランドが元気です。

この辺りはAセグメント車の好調に支えられている部分もありまして、下記のエントリーで触れていたりします。


今年はルノーがプジョーさんより売れるかもしれないという話(1)

今年はルノーがプジョーさんより売れるかもしれないという話(2)


大衆ブランドが好調というのは市場全体にとってとても健全なことであります。
下半期もこの調子でガンガンと行っていただきたい感じであります。


ちなみにルノーとプジョーさんですが、6月はプジョーさんの頑張りによって前月の290台→65台と一気に差を詰めてきました。

3008ディーゼルと新型5008でどれだけ爆発力を見せつけることができるのか?

そしてルノーはAセグメントの積み上げで逃げ切れるのか?


俺の中の全米が今猛烈に熱狂の渦の中にあります。



■テスラ、再び拡大路線か?
正確な数字が取れずあまり注目もしていなかったのですが、テスラの販売が復調の兆しを見せているようです。

ようです、というのはJAIAが発表する実績にテスラは単独のブランドとして登録していないため、発表では「Others(その他)」に分類されているため、正確な数字が不明なんですね。

ただ、Othersに含まれるブランドでコンスタントに売れるものはほとんどありませんので、実質的にテスラの販売台数に近い数字と見ることが出来ます。

上半期の実績を見ると441台の実績で前年比300%と猛烈な台数になっています。

バックオーダーが解消されたのか、モデルXなどのラインナップ追加で販売が上向いたのかは定かではありませんが、ボルボが2年後の2019年に内燃機関のみの新車は発売せずEVやハイブリッドのみの展開とする、と宣言したように時代はそちらへと確実に動いてはいます。

そんな中で先行者利益をどれだけ獲得し続けられるのか。
イーロン・マスクのビッグマウスっぷりがどこまで続くのかとセットでテスラの動向は要注目ですね。



そんなわけで上半期の国内の輸入車市場は高級ブランドから大衆ブランド、そしてEVといった先端技術を売りにするクルマまで等しく売れているという明るいニュースで折り返すことができました。


11月の東京モーターショーでも盛り上がりを見せるでしょうから、各社ニュースになりやすいネタの仕込みをよろしくお願いしますねw



posted by 海鮮丼太郎 at 14:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月05日

ハッシュタグ #PeugeotFans の取り組み

#peugeotfans.png
   
一方通行の情報発信はソーシャルメディアの使い方としてその性質上そぐわない、なんて話は当BLOGで過去に何度も指摘してきました。

2015年にプジョーさんがtwitterアカウントを仕切りなおした際のエントリーでその理由について書いています。

過去は無かったものとして、プジョーさんがtwitterを開始


そんな中でプジョーさんに動きが見られました。

プジョーさん公式アカウントが6月30日突如、「#PeugeotFans」というハッシュタグを付けて画像の投稿を促すようアナウンスしました。


基本的なおさらいですが、ハッシュタグの付けられた投稿はそのタグを辿ることでその話題に言及している投稿をまとめて見ることができます。

多くの人が集うイベントやテレビ番組で共通の話題を共有する目的でハッシュタグ運用は一般的なものになっています。
例えばプジョーさんの直近の事例では昨年行われたPEUGEOT LION MEETING 2016で運用された「#PLM2016」というハッシュタグが記憶に新しいですね。(何故かインドネシアのイベントとタグが被って残念な感じになってましたが)

ハッシュタグというのは何でも適当に設定すればいいというわけでもなく、ある程度目的が明確になってないとうまくいきません。

たとえば「#peugeot」は対象が散漫過ぎてイメージが湧かず何が集まってくるかわかりません。逆に「#NewSUVPeugeot3008」では対象が限定され過ぎて数が集まりません。

そんなわけで割と目的が明確でイメージしやすい「#PeugeotFans」ですが、このハッシュタグそのものは海外ではずいぶん前から使われており、公式ではプジョーイタリアのアカウントが促す形で投稿数が増えたのは2013年末頃でした。

とはいえプジョージャポンとしてこの手の動きはほとんど見られず、そもそもtwitterアカウントの仕切り直しをしたのが2015年3月の話ですから、そこから2年経ってようやく動き始めたという感じでしょうか。

ただしこれ、どうやら日本法人ではなく本国主導っぽいですね。

プジョースペインやポルトガルの公式アカウントも日本と同じようなタイミングでハッシュタグを付けた投稿を促すようツイートしていたりします。



投稿を促すハッシュタグの運用はオーナーの参加意識を高め、それが楽しいと感じてもらえるとブランドに対する高感度(≒忠誠度)が高まります。

集まった画像をCGM的に活用することでプジョーとオーナーという縦の繋がりを、そしてオーナー同士の横の繋がりをも演出する効果を生み出します。

もちろんクオリティのコントロールが効かないことによりイマイチな写真も散見されますが、それでもオーナーひとり一人の想いが写真に込められているわけです。

こういう積み重ねはメーカーに取って特別な資産と言っても過言ではないでしょう。

そうした資産をうまくコントロール(運用)するテクニックが求められるわけですが、まずは投稿の数が集まらなければ意味がありません。

上記で紹介したエントリーではマツダを成功事例として引き合いに出していますが、現在の運用をSNSに移行する前、マツダWEBで定期的に開催されていた「マツダ車のある風景コンテスト」の頃から素晴らしい写真が集まっていました。

今も「#マツダ車のある風景」のハッシュタグで素晴らしい写真が集まり続けるのは、投稿したくなるようマツダが運用を工夫しているからです。


プジョーさんでも過去に「Le Club Peugeot」というオーナー向けサイトの企画として写真を投稿してもらう『ギャルリープジョー』というコーナーがありました。

最初でこそ魅力的な「プジョーのある風景」が集まりましたが、比較的早い段階で更新が途絶え、結果としてコンテンツとしての魅力が失われてしまいました。

あの頃に比べれば運用のルールと手間は格段に軽減されてますので、うまく投稿を促し、賑やかなハッシュタグになるよう演出してください。



種は蒔かれました。

次のフェーズは肥料と水を与え、収穫を目指すことにあります。

これからが本番です。
運用の中の人、頑張ってください。



そして我々プジョーファンがやるべきことは、素敵なプジョー車のある風景を投稿することだと思うわけです。

我々も頑張りましょう。


…などと言ってみたものの最近プジョーさんの写真を全然撮ってなくて愕然としております。

週末は娘さん連れてどこか行ってきます。



posted by 海鮮丼太郎 at 13:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月28日

プジョー・シトロエン・ジャポン、プジョー目黒店内に本社を移転

20170627PCJ_meguro_iten.gif


どう書こうか迷ってたら発表されてましたので。
PCJ(プジョー・シトロエン・ジャポン)日本法人が恵比寿から目黒区の碑文谷に移転します。


碑文谷と聞いてピンと来た方、ご想像のとおり。
移転先の住所は

東京都目黒区碑文谷5-1-3

ですので…


ということになるわけです。

しかもディーラー機能は残したままの日本法人事務所ということになるわけですが、施設の大きさは変わりません。

ちなみにプジョー目黒店のBLOGでは改装の模様が紹介されていますね。

一応2016年4月1日現在のプジョー・シトロエン・ジャポン株式会社の従業員数は74名となっておりますが、碑文谷の施設にそれだけの人数って収容出来ましたっけ?しかもディーラー機能も維持しながら。

もちろん本社機能の移転だけですべての人員をここに集めずにオフィスを分散するやり方もありますから一概に否定的に捉える必要はないとは思います。

ただ、碑文谷は学芸大学駅からは10分ぐらい歩くので昨今の自動車に乗らないジャーナリストさん等にとってはあんまりいい印象には映らないんじゃないでしょうかw

冗談はさておき、本社と旗艦シュウルームの場所はある種のブランド商売においてとても重要であったりします。

一般的な見え方として従来のオフィスビルに独立して存在していた日本法人が現時点の旗艦店とはいえディーラーである目黒店の一部に日本法人の機能を移すというのはあまりポジティブな見え方にはなりません。

とはいえ販売も拡大基調にある中で日本市場にまだまだコミットするつもりならば、目黒をに本社機能+αで稼働し、世田谷エリアをカバーする旗艦ディーラーを別途新設するって流れに期待が集まるわけですが…

シトロエンのブランド戦略迷走などPSAの本社サイドがフラフラしている影響を受けているんだろうなぁ、と傍目で観ていて感じるところではありますが、そろそろPCJはDS、プジョー、シトロエンを日本市場においてどうしたいのか?というメッセージをもう少し明確に発信してはいかがですかね?

当BLOGでカクタスの続報を書かないのはある種の抗議の意味も兼ねています。

GWのミッドタウンのイベントでお話を聞いた際の印象では、決して日本市場に対して手を抜く気はないという熱意を感じました。

しかしその想いがオーナーも含めた広義のPCJファンの元に届かなければ意味がありません。

とりあえずファンが安心して今後の期待感を語れるように、数十名程度の小規模でもいいのでぶっちゃけた話のできるファンミーティングでも開催してはどうですかね。
(今までも何名かのオーナーの方を本社に呼んでお話を聞いたりとかしてたそうですからその拡大版と考えればよろしいかと)


相互理解はまず直接の交流から。

輸入車というブランド商売といえども、“モノの消費”から“コトの消費”へと移行する流れは避けられません。
プジョーさんがプレミアム路線のお手本とするアウディでさえ、最近は消費者と直接向き合ったマーケティングを展開し始めました。(例:Q2における #型破る のプロモーション等)

本社移転はそうした心機一転の契機にしてみてはどうでしょうか、というのを当BLOGの見解とさせていただきます。




posted by 海鮮丼太郎 at 12:39| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月09日

今年はルノーがプジョーさんより売れるかもしれないという話(2)

fortwo_turbo_colorlineup_01.jpg
▲smart fortwo

今年はルノーがプジョーさんより売れるかもしれないという話(1)
http://kaisendon.seesaa.net/article/450690645.html

の続きです。

【今北産業】(今来た人に3行で要約)
 ・輸入車市場が好調で20年ぶりに年間30万台突破か
 ・裾野の広がる大衆ブランド
 ・注目すべきAセグメントの動き


■3代目Twingoとは
元々はスマートが開発していた2人乗りの『fortwo』と4人乗りの『forfour』でしたが、幾度にもおよぶ経営危機によって単独での事業展開では販売台数を見込めず利益確保が難しいとの判断から共同開発のパートナー探しが親会社のダイムラーグループにとっても重要課題となっていました。

そこにゴーン社長率いるルノー・日産アライアンスが開発力向上とコストダウンを見込んでダイムラーとの包括提携を持ちかけました。

この提携はお互いに3.1%の株式を持ち合う資本提携にまで踏み込んだもので、双方の強みを生かしてパワートレインの相互供給やマイクロコンパクトカーの共同開発という戦略を打ち出しました。

その果実の一つが新型の『smart forfour』&『Twingo』でした。

開発はルノーとダイムラーの共同で行われ、スマートの代名詞ともいえる2人乗りの『fortwo』をスマートの専売とし、4人乗りの『forfour』をルノー『Twingo』と兄弟車として展開することで販売のボリュームを稼ごうという戦略となりました。

Aセグメントの4人乗りとはいえRR(リアエンジン・リアドライブ)という独特のレイアウトを獲得した『forfour』と『Twingo』はともにスロベニアのルノーの工場で生産されており、欧州では『Twingo』が先行して販売開始となりました。

国内導入においてはスマートの『fortwo』が需要が見込めないという理由から限定販売という扱いとなり2015年末に販売を開始、そして2016年1月に『forfour』がTwingoに先行して販売開始となりました。

ルノーからも『Twingo』の国内導入がアナウンスされ、2015年の東京モーターショーでは実車のお披露目も行われました。

しかしいつまで経っても発売スケジュールが発表になりません。

2016年5月のカングージャンボリーという絶好のお披露目の機会がありながら、ここでもスルーされてしまいました。

何やら異常事態だとルノーファン界隈がざわついていましたが、メルセデスジャパンが『forfour』の販売強化を打ち出し日本向けの生産ラインのかなりの部分を押さえてしまったため、日本向け『Twingo』の台数を確保できなかったことが導入が遅れた理由だと某所でお聞きしました。

確かにメルセデスグループとしてエントリークラスを担うスマートの販売に力を入れるのは必然であり、そのために生産ラインをコミットで押さえられてしまえば、需要の予測の難しいルノージャポンが力関係で割を食ってしまうのはわからなくもありません。

結局なんだかんだで正式に導入が発表されたのは2016年7月、デリバリー開始は9月にズレこんでしまいました。

そのため一時期販売台数で差が縮まっていたプジョーさんとルノーはプジョーのディーゼル強化が当たったこともありまた大きく差が開く結果となりました。


■注目すべきはAセグメント
さて、そんなわけでAセグメントに関するお話をだらだらと書いてきましたが、ここで一度整理しておきましょう。

2017年6月現在、正規輸入されているAセグメントはざっとこんな感じです。

fiat500pop.png
▲Fiat500

fiatpanda.png
▲Fiat Panda

【Fiat】
 ・500 
 ・Panda 

595main_img_pc.jpg
▲Abarth 595

【Abarth】
 ・595/695 

up_top_01.jpg
▲VW up!

【VW】
 ・up! 

forfour_img_passion.jpg
▲smart forfour

【smart】
 ・fortwo 
 ・forfour 

twingo_pc.jpg
▲Renault Twingo

【Renault】
 ・Twingo 



日本のAセグメント市場を引っ張ってきた絶対王者のFiat500ですが、さすがに発売から9年を迎えて今年に入ってから販売台数が大きく減少しています。

これによりFiatは『Abarth595』を加えても前年割れとなっています。

VWのup!も先日マイナーチェンジを敢行しましたが、欠点だったトランスミッションに変更はなく、客層から見ても状況を大きく挽回出来るほどではなさそうです。


それに対して昨年から本格的に販売を開始したスマートは絶好調で、前年比+14%とハイペースに推移しています。
さすがにコミットして生産ラインを押さえただけのことはあります。

そして本格的にデリバリーの開始したTwingoも好調で、規模的にスマートの半分ぐらいの台数を毎月コンスタントに販売しています。

スマートを販売するメルセデスのディーラーが全国に200店舗以上あるのに対しルノーは68店舗しかありません。

この差を考えるとTwingoの販売は驚異的に絶好調とも言えます。

これによりforfour+Twingoは、Fiat500+Abarth595というAセグメントの絶対王者を台数でも追い抜いており、ひょっとするとポップアイコンのポジションすら奪い取ってしまうかもしれません。
(さすがにそれには別の要因が必要ではありますが)


とはいえ、Aセグメント車の販売はメーカーにとって(スマートやフィアットのように主力商品がAセグメントという場合を除き)メインストリームではありません。

ビジネスの主軸はあくまでその上位セグメントとなります。
スマートもメルセデスグループとして見た場合、ローエンドの客寄せの位置付けとなりメインはCセグメント以上の車種であるわけです。

そんなAセグメントですが、しかし確実に販売数積み増しに貢献してくれます。

これがあるのと無いのとで通年の結果が大きく変わってくるであろうというのが当エントリーの本題であったりするわけです。

なげーよ、まったく…



■今年はルノーがプジョーさんより売れるかもしれないという話
JAIAが毎月発表している輸入車の登録実績をうぉちしていると、各ブランドの勢いというのが可視化されてきて非常におもしろいわけです。

フレンチ4に限って見ても、2016年に再び差が2100台と広がったプジョーさんとルノーの実績ですが、実は2017年5月現在ではルノーがプジョーさんを逆転して+290台ほどリードしています。

ルノーにあってプジョーさんに無いもの。
それがAセグメントのラインナップです。

Twingoの本格デリバリーが始まる前までのルノーは『カングー』&『ルーテシア』という従来の2本柱でプジョーさんの後を追いかけていましたが、そこに3本目の柱となるTwingoが加わったことで良い感じに台数を積み増していることが好調の原因であると言えます。

例えば以下はルノーの毎月の販売台数におけるTwingoのシェアです。

1月 36%
2月 41%
3月 42%
4月 51%
5月 39%

…積み増しってレベルジャネーゾ。
もはや立派な主力に育ってますね。

もちろんこの好調の理由にはTwingoを待望していたルノーファンがきっちり購買行動に走ったという理由もさることながら、MTやスペシャルグレードなど細かな仕様を投入するルノージャポンの戦略が当たっているということでもあります。

もちろんこの勢いがいつまでも続くわけではありません。

対するプジョーさんも2017年前半は待望の3008を発売しながらタマ数を用意できず機会損失をしていましたが、夏には待望のディーゼル仕様が加わります。

そして年末に向けて新型5008の投入も控えています。

夏以降のオペレーション次第で一気に持ち直してくることも予想できますが、着実に台数を積み上げるAセグメントのラインナップがありません。

果たしてこの両者のバトルはどのような結末を迎えるのでしょうか?

もちろんプジョーファンである以上プジョーさんに頑張って欲しいと思っているのですが、最近の巧みなマーケティングによってファンを増やしているルノーがこれからどこまで伸びるのか?という業界うぉっちゃー的な目線ではルノーに期待している部分も正直言ってあります。

ちなみにもし年間販売でルノーがプジョーさんを上回ると、1987年に逆転を許してから実に30年ぶりのフレンチトップ奪還となるわけです。

French4_sales_graph_2016.gif
▲クリックで拡大


輸入車市場20年ぶりに30万台達成、そしてルノー30年ぶりのフレンチ首位奪還なんて話題は、メディア受けするネタではありますね。

もちろん台数がすべてなどと言うつもりはありません。
あくまで、客が支持するものが売れる。
だから売れるものには理由がある、というお話なわけです。



■最後に
現時点でAセグメントのラインナップを持っていないプジョーさんですが、だからといってルノーに追従する形で『108』を国内に投入すべきだ、という一部の意見には当方は現時点では賛成しません。

今のプジョーさんには、108を投入する根拠が希薄だからです。

例えばカングーに対抗してパートナーTepeeを導入したとして売れるでしょうか?

おそらくほとんど売れないと思います。

これはカングーがジャンボリーを始めとした演出によって、所有することの意義をオーナーが見出せる環境が構築されているからこそ売れているわけで、そうした文化がまったくない状況でプジョーさんがTeepeeを発売しても、実用面を評価して購入する層が一定数はいるでしょうが、それ以上の広がりが期待できません。

かつてのプジョーさんにはAセグメントとしてエントリーの役割を担った『106』がありました。
106はスポーツ走行のベース車両として今でも中古市場で人気があります。

しかし後継となった『107』は直接的に106のコンセプトを継承したものではなく、市場のニーズを隙なく埋めるためにトヨタとの合弁で開発された車種でした。

そういった事情もあって106的なイメージを期待する層を満足させることは難しく、採算性の面からも国内への導入が見送られたのだと思います。

さらにその後継の『108』も107のキープコンセプトでした。

フレンチブルーミーティングやPEUGEOT LION MEETINGで並行輸入された108を拝見しましたが、悪いクルマだとは思いませんでしたが、これは!という魅力の打ち出し方が難しいな…という印象を持ちました。

もちろん選択肢として『108』が選べるようになればそれはそれでより多くのプジョーファンを獲得できる可能性を秘めてはいます。

ただそのためには単にラインナップを揃えるだけでなく、“108を選ぶ理由=108を欲しくなる理由”という演出を周到に行う必要があるのではないかと思います。

既存車種、ひいてはプジョーというブランド全般にこうした演出があまり成されていない現状においては、まず取り組むべきは車種の追加ではなく個々の魅力演出への取り組みであると考えます。

Twingoはスマートとビジネス上の都合で兄弟車として発売されましたが、それを欲しいと思わせる演出を加えたのはルノージャポンです。

そう考えるとプジョーさんに足りないのは実はAセグメントではなく、演出力なのではないか?

そんなことをふと考えましたとさ。


posted by 海鮮丼太郎 at 07:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月08日

今年はルノーがプジョーさんより売れるかもしれないという話(1)

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【今北産業】(今来た人に3行で要約)
 ・輸入車市場が好調で20年ぶりに年間30万台突破か
 ・裾野の広がる大衆ブランド
 ・注目すべきAセグメントの動き


輸入車市場が全般的に好調です。
メルセデスの勢いが止まらないというのはニュースなどで目にされている方も多いかと思います。

しかし他のブランドも総じて前年対比で昨年を上回る実績を上げており、上位20の主要ブランドで5月末時点で前年割れしているのは

Audi96.4%
Fiat89.5%
Land Rover92.7%
Alfa Romeo74.8%
DS87.1%
 
だけとなっており、ディーゼルゲート事件で大きく後退を余儀なくされたVWでさえも前年を上回る台数が売れているわけです。

2016年の年間輸入車登録台数は294,063台であり、前年比+2.1%の推移で伸びていけば念願の30万台到達が見えてきました。

奇しくも前回の年間30万台越えは1997年でしたので、実に20年ぶりの活況ということになるわけです。
あまり先の話をしてもしょうがありませんが、関係者の鼻息が荒くなるのもわからなくはありません。

ですが、この年間30万台という目標は達成するだろうと個人的には予測しています。

その根拠となるのが今回のエントリーで話題にするルノーの好調です。


■今の輸入車市場のトレンド
一般的に輸入車に対するイメージは高級車といったイメージを持たれるかと思います。
数字の面で行っても、確かにそれはある面においては事実です。

例えば2016年の実績を例にドイツ勢の高級ブランドであるメルセデス、BMW、アウディの実績を見てみましょう。

1位 Mercedes-Benz67,378台
2位 BMW50,571台
4位 Audi28,502台
3ブランド合計146,451台

2016年の輸入車全体の合計は294,063台でしたので、この3ブランドで全体の半分となる49.8%を占めています。

一方でVW、BMW MINI、Volvoを始めとした大衆ブランドも約12.5万台ほどの市場を形成しています。
(定義が難しいのですが上限としてBMW MINI、Abarth、DSまでは大衆ブランド派生とカテゴライズしました)

大衆ブランドは全般的に高級ブランドに比べると価格も車格も低く抑えられており、その分台数が多く売れる傾向があります。
もちろん顧客のニーズが合致すれば、の話ですが。

特に輸入車が獲得を狙っている国産車からの乗り換えについては燃費や先進装備面、価格面でもそれほど大きな差はなくなってきているので、顧客獲得のチャンスが到来していると言えます。

各メーカーの努力により輸入車の選択肢が広がったことで高級ブランドだけでなく大衆ブランドまで需要のすそ野が拡大していることが、昨今の輸入車市場の好調を支えていると言えます。



■Aセグメントの位置付け
Aセグメントは主に全長が3750mm以下の車種の分類となります。
日本で言うと軽自動車やトヨタ『PASSO』などの小型車に相当します。

ちなみに欧州車の最大のボリュームゾーンであるB/C/Dセグメントの目安は以下の通りとなります。

Bセグメント 全長4,200mm以下
Cセグメント 全長4,500mm以下
Dセグメント 全長4,800mm以下


日本という特殊性の高い市場で輸入車が勝負しようとするならば、まずは一番ニーズの厚い層のラインナップを強化するのが必然です。

そのため高級ブランドが強い日本では輸入車はC〜Dセグメントがボリュームゾーンとなります。

それに続くのがBセグメントとなり、この辺りはどのメーカーも積極的にラインナップを充実させています。

それに対してAセグメントは本国でラインナップしていながら国内市場への投入に消極的な姿勢が目立ちます。

理由は様々ですが、一般的にAセグメントは単価が安くその割に台数があまり見込めないため利益を出すのが難しいという要因が大きかったと言えます。

BMWに買収される前の『クラシックMINI』やルノー『Twingo』、スマートの『fortwo』といった限定的なヒットがあったものの、マニア向けの域を出ず市場の形成までには至りませんでした。

その流れが大きく変わったのが2008年にFiatが販売を開始した新型の『500』シリーズでした。
(2002年に『BMW MINI』が発売されるがクラシックMINIより巨大化しBセグメントへ移行)

構造こそ違うものの往年のチンクェチェントを彷彿とさせるデザインによってポップアインのポジションを獲得し、唯一無二の存在感を発揮してきました。

500の成功を受けてフィアットはアバルト仕様の追加や細かい限定仕様を次々と投入することで国内市場で大きく存在感を発揮するようになりましたが、これに追従する動きはあまり見られませんでした。

2012年にVWが日本市場への取り組み強化を狙い、世界戦略車である『up!』の国内導入に踏み切りました。

VWは遡ること2001年から最少クラスである『LUPO』を販売していましたが、セールス不調により2006年で販売を終息しており、6年ぶりのAセグメント参入となりました。

up!については国産車からの乗り換えを促すために158万円〜という戦略価格とこのクラスとしては珍しかった自動ブレーキを標準装備し、CMには久保田利伸を起用するなど、並々ならぬ力の入れようでした。

その取り組みは当BLOGでも下記のエントリーで触れていたりします。


up!の戦略に見るブランド忠誠度とグッズの関係について


しかし当初軽自動車と同じぐらいの値段で買えるということで大いに注目されたものの、up!が採用したシングルクラッチトランスミッション(ASG)の独特のクセが敬遠され、VWが当初目論んでいたほどの実績を上げることができませんでした。
(ATの構造的はFiat500と同様なのですが、VWというブランドに消費者が求めるものは違っていたという厳しい現実となりました)

またFiat500が君臨するおしゃれなポップアイコンの座も射落とすことはできず、なかなか厳しい戦いを強いられています。

そうした流れの中で次に放たれた矢がスマート&ルノーの共同開発となった『新型smart/Twingo』でした。



なんと本題に触れることもなく後編につづく。


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2017年05月13日

2049のスピナーがプジョー製?

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なんですか、コレは?



んー?


posted by 海鮮丼太郎 at 07:44| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月11日

新型3008はプジョーの集大成のようなクルマだった(2)



原稿を未完成のまま寝かせすぎて鮮度が落ちてしまったので簡略版で公開します。
本当はこの3倍のボリュームがありましたw

ってことで

新型3008はプジョーの集大成のようなクルマだった(1)

の続きとなります。5ヶ月も経って続きも何もあったもんじゃないですが。


2016年末に先行して発表され全国キャラバンが行われた新型3008でありますが、ガソリンエンジン仕様だけを台数限定で販売という妙な形で販売がスタートしました。

で。

売り方について言いたいことは山ほどありますが、商品としての新型3008は新世代プラットフォームと新たなデザインフィロソフィーによる提案が高度な次元で成立した、プジョーさんの歴史の中でも割とエポックメイキングなクルマになるのではないかと思いました。


■インフォテインメントのお手本としてのi-Cockpitのデザイン
新型3008を個人的に最もオススメしたいのがこの第2世代i-Cockpitのデザインです。

この件について書くには当方が運転席周りのデザインについてどう考えているかという背景から説明しなければなりません。

そのため、まずはこちらのエントリーにお目通しください。

クルマにおけるタッチUIの理想的なポジションは?



プジョーさんは欧州車の中では比較的早く2012年に発表した208において大型のタッチディスプレイを採用しました。

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▲208のセンターコンソール

208のセンターコンソールは従来低い位置に配置されることの多かったモニタを運転視界に近いところに配置しております。

ちなみにその前の207はこんな場所にありました。

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▲207(日本仕様)のセンターコンソール

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▲実は207の欧州仕様のモニタはちゃんとした位置にあるんですけどね…



208は音楽機能などはタッチ操作になったもののエアコン操作は従来通り物理スイッチを併用しており、運転中の操作にそれほど大きな問題は発生しないデザインとなっております。



そして翌年の2013年に2代目となる308がデビューしました。

新型308から運転席周りの新しいデザインを“i-Cockpit”という名称でアピールし始めました。
(後に208もi-Cockpitの呼称を使用)


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▲308のセンターコンソール

特徴的なのは208と同様、タッチスクリーンを運転目線に近いところに配置した点ですが、新型308の良いところはエアコンの吹き出し口をモニタの左右に配置することで、モニタの設置場所を高く出来た点にあります。


とはいえ小径ハンドルとその上から覗き込むメーターというレイアウトは共通性があるものの、センターコンソールの思想については新型308と208ではまったく異なったアプローチを見せました。

208は必要最低限の物理スイッチは残しましたが、新型308は極力スイッチを排し、大型タッチスクリーンに機能を集約する手法を取っています。


デザイン的な見栄えでは新型308のスッキリした感じはエレガントな雰囲気を漂わせることに成功してはおりますが、タッチスクリーンの階層メニューが複雑になっており目的の操作に辿りつくのが面倒という声をよく聞きます。

実際、当方が触ってみても洗練度が足りない印象を受けました。

これは何も308に限った話ではないのですが、インフォテインメントとして機能が増えれば増えるほど階層メニューの操作が複雑になってしまいます。

その解決のための提案として新型308は「エアコン」や「サウンド」「設定」といったよく使う機能のショートカットを大型タッチスクリーンの左右に配置しています。

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しかしこれは物理スイッチではなくタッチパネルであるため、操作をするのに目視での確認が必要となります。

つまり、運転中にエアコンの操作をしようとすると、どうしても目線をモニタに移す必要があるということです。


運転中に操作する可能性が高いタッチスクリーンの操作が複雑化すると、画面に気を取られて事故を起こす可能性が高まるため非常に危険であるというのが以前からの当BLOGの主張です。

“技術は人を傷つけてはならない”

安全性と利便性はトレードオフの関係ではないのです。


機能の複雑化は目を瞑るとしても、せめて運転中はタッチスクリーンへの視線移動と操作時間を最小限にすることが運転席周りのUI(ユーザインターフェイス)の開発においては最優先事項であるべきです。

その意味でカーナビの普及が早くそのあたりの知見が多い日本車メーカーがスクリーンををダッシュボード上部に配置するデザインを採用しており、これは世界的に見ても高く評価されるべきポイントです。

また一貫性は欠くものの、トヨタがスピードメーターなどをステアリング正面ではなくダッシュボード中央に設置する、いわゆる「センターメーター」の取り組みは情報が複雑化する流れの中では賞賛されるべきチャレンジだと思います。

完全自動運転時代まであと数十年掛かるわけですし、それまではあくまでドライバーが運転に集中できる環境=よそ見による事故を防ぐ環境を作ることが最優先であるべきです。


参考までに最新の日本車のデザインを確認しておくことにしましょう。

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▲新型CX-5のセンターコンソール


他にも軽自動車を含むほとんどの日本車が運転目線に近いところにモニタを配置しており、この辺りの知見では世界のトップレベルにあることがわかります。

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▲4代目プリウスのセンターコンソール

ただし4代目プリウスはセンターメーターこそ理想的な位置にありますがタッチモニタの位置が先代より下部に配置され、操作性で退化してしまっています。
危険というほどではありませんが、褒められるレベルではありません。



■ジェット機のコックピットを模した初代3008のデザイン
さてここで話はガラっと変わります。

初代3008は外観こそMPVとハッチバックのクロスオーバーでありキャラクター的にはカピバラに例えられる、どちらかといえはファニーな印象でした。


しかし運転席周りのデザインは従来のプジョー車とは異なりドライバーが運転席に包まれるようなパッケージングとなっており、そこにアクセントを加える形で7連トグルスイッチが配置されておりました。

プジョーさんはこれを“ジェット機のコックピットを模したデザイン”と宣伝していました。


男の子的にはこの手のギミックは大好きだったりするわけですが、トグルスイッチを含めたコックピット感の演出はBMW MINIがさらにその何枚も上手の演出を仕掛けてきました。

BMW_MINI_Toggle_Switch.jpg
▲BMW MINIのトグルスイッチ


プジョーさんの7連トグルスイッチに割り当てられた機能も、必ずしも必然性が感じられるものではなく…

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▲先代3008の7連トグルスイッチ

左から

 HUD(ヘッドアップディスプレイ) ON/OFF
 HUD照度調整
 HUD角度調整
 ハザード
 ディスタンスアラート 警告時間設定
 ディスタンスアラート ON/OFF
 ドアロック

といったもので、トグルスイッチの演出と実際に割り当てられた機能にはイメージ的に開きがあったのは事実であります。

トグルスイッチというのは罪なもので、男の子にとっては変形やら特殊武器の発射やら加速装置やらといった、ある種の「特別なギミック」を実行するトリガーであるとDNAレベルに深く刻まれているのです。

特にジェット機のコックピットなどと表現してしまった以上、HUDの角度調整では満足感は得られません。

BMW MINIとは掛かっているコストがまるで違うので同列比較するのは可哀想ではありますが、演出の仕方はもう少しなんとかならなかったのか?という思いも抱いてしまいます。

実際、このトグルスイッチを積極的に使っているオーナーさんはどれぐらいいるんでしょうか?



■対象的なVWのアプローチ
話を新型308に移します。

今でこそVWのゴルフを相手に立派に存在感を発揮するまでに至った新型308ですが、当初はi-Cockpitのアピールに苦心しているように思われました。

タッチスクリーンの階層メニューがあまり洗練されていない点についてはすでに書きましたが、そのスクリーン位置は運転中に目視、そして手を伸ばして操作するのに絶妙の場所に設置されていることを当BLOGでは高く評価していました。

簡単に言えば、エアコン吹き出し口よりディスプレイが上部に設置されていれば合格。
エアコン吹き出し口より下にモニタが設置してるのはNGという評価を与えていいと思います。

新型308はモニタの左右にエアコン吹き出し口を配置しており非常に合理的なデザインであります。

これに対して世界的ベストセラーでありVWのフラッグシップでもあるゴルフはどうなっているでしょうか?


VWゴルフはマイナーチェンジを受けてもディスプレイ位置がエアコン吹き出し口の下にあり、タッチ操作も必然的に視線を下げざるを得ません。

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▲VW GOLF(7代目)のセンターコンソール(MC前/MC後)

最新のSUVであるティグアンでも同様のデザインとなっております。

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▲新型ティグアンのセンターコンソール

オートックワンのティグアン紹介記事の渡辺陽一郎さんの写真を見て頂ければ、当方が何を言いたいのかご理解頂けるかと思います。(視線の矢印は当方で加工)

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“運転中にタッチ画面の操作はしてはいけない”なんて建前の話はどうでもいいんです。
現に操作出来てしまう以上、人間は運転中でもタッチ操作のために画面を見ます。

だからこそ、そのような状態でも出来る限り危険な状況にならないように配慮するのがUIの基本であるわけです。

フェイルセーフ&フールプルーフの発想です。

“Volkswagen Car-Net”が機能的に素晴らしいという点に異論はありません。

しかし機能的に優れていれば当然その機能を使う回数も増えるわけです。

カーナビ画面に限らず頻繁にモニタを見てタッチ操作を行うということを想定した場合、残念ながらVWが運転中の視線移動について真剣に取り組んでいるとは当方にはどうしても思えません。



■第2世代i-Cockpitは過去のトライアルの集大成
さて、ようやく新型3008の話になりました。

新型3008は第2世代i-Cockpitと称されたデザインを売りにしておりますが、これはプジョーさんが208からトライアルしてきた様々な取り組みのまさに集大成とも言えるデザインと解釈しました。

初代3008=7連トグルスイッチによるコックピット感の演出
208=理想的なディスプレイポジションを確立
新型308=タッチディスプレイに機能を集約

では、新型3008は…?

 ・理想的なディスプレイポジション
 ・さらに複雑な機能が集約されたタッチディスプレイ
 ・7連トグルスイッチに主要機能のショートカットを割り当て

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当方が新型3008をチェックして一番感心したのが、7連トグルスイッチの演出を実用的な機能に再定義した点でした。

革新的なアイディアではありませんが、i-Cockpitが単なる目新しさの演出ではなくインフォテインメント時代に安全性と実用性を兼ね備えた、非常に意欲的な提案だと思います。


タッチスクリーンでできる機能をあえてショートカットとして7連トグルスイッチに割り当てることは、一見するとムダに感じられるかもしれません。

また、新型308では物理スイッチを極力排してエレガントなダッシュボードを演出したのに、それに逆行するような動きでもあります。

ショートカットの発想は新型308のタッチパネルの左右にも8つのショートカットが設置されているためまったく新しいアイディアではありません。
しかし新型308のショートカットはタッチパネルの一部であり、そこにアクセスするためには画面を注視する必要がどうしても発生します。

それに対して7連トグルスイッチは物理スイッチであるため、慣れれば手探りで目的のスイッチをONにすることができます。

可能であればこのスイッチへの機能の割り当てがユーザ自身でカスタマイズできると面白いと思うのですが、まずはこうして運転中に画面を見なくても主要な機能へのアクセスが物理スイッチによって可能になったことを大いに称賛したいところであります。

昨年末の目黒のキャラバンでマーケティングの方にこの点を指摘して最大限にアピールすべきというお話をしたのですがどうもピンときてなかったようであります。

普段運転しながらなに考えてるんですかね?

ってことでミッドタウンでお会いした中の人にはこの点を熱く語っておきました。
その真意が伝わってるかは定かではありませんがw



そんなわけで、新型3008を検討される方は試乗の際に運転視線からタッチパネルに目を向けてみてください。

そして競合として検討しているクルマで同じことをしてみてください。

その時、視界に何が写っているか。

その答えがi-Cockpit 2.0であるわけです。



P.S.
蛇足ですが。
上記はあくまでモニタ位置と物理ショートカットスイッチは絶賛していますが、肝心の機能面については触れていません。

昨年末に聞いた日本語ローカライズの修正が間に合ってないとか、CarPlay&Android Auto正式対応はどうなっているのか?といった点も含めてまだまだブラッシュアップすべき点が多々あるのも事実です。

この部分の完成度をどれだけ高めることが出来るかが、今後のi-Cockpitの評価を左右する重要なポイントだと当方は考えています。

  
タグ:3008 2nd
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2017年04月26日

プジョーさん、東京ミッドタウンで大規模なイベントを開催

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そんなわけで、ガソリンエンジン仕様の限定販売からスタートし8月には待望のディーゼル仕様も加わってプジョーさんが今年一番力を入れている新型3008の販促イベント『NEW SUV PEUGEOT 3008 Amplified Experience in TOKYO MIDTOWN』がスタートしました。

東京ミッドタウンを使って行われるイベントは、2010年にプジョーさん200周年を記念して開催された『THE PEUGEOT UNIVERSE at Tokyo Midtown』以来7年ぶりとなります。

前回はすでに発売されていた先代3008と新型として発表されたRCZのお披露目イベントの意味合いが強く、けっこう多くの人がRCZ目当てに来場していたと記憶しています。

そのイベントの席でプジョーさんが今後どのような取り組んでいくかのプレゼンが行われました。


プジョーのマニフェスト。


今こうして読み返してみると半分近くが実現しておりませんでしたw

販売低迷と経営危機によって大幅な事業再構築を行わざるを得なかったためですが、ようやく上向いてきたグループPSAですから下手にビジョンを語るより直近の車種の販促活動に集中した方がいいと当方は思います。

今回はRCZのような初お披露目といった話題性はありませんが、何よりGW期間中という人が多く集まるタイミングでのイベント開催なだけに、多くの人に新型3008をアピールできるのではないでしょうか。

ただでさえミッドタウンをを借り切ってイベント開催するには多額の費用が発生するわけですが、それをもっとも繁忙な時期であるGW期間に実施するのですからものすげーコスト掛かってるはずです。
(個人的な見解としてはプジョーの客層を考えると開催エリアは六本木ではなく湾岸エリアの方が適していると思いますが)

欲を言えばプレス向けにお披露目し、秋に導入が決定している新型5008も参考展示で実車を見せてくれた方がモアベターだったと思うんですけどね。

まぁそれはそれでまた何か別のイベントが控えていると考えるべきなのでしょう。

そんなわけで当方もGW期間中に休日出勤の予定があるのでそのついでにちょっとお邪魔してみようかと思っております。

posted by 海鮮丼太郎 at 12:12| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月25日

カローラ50周年に思うこと。

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■カローラとは何なのか?
トヨタのクルマで世界的に最も知られている車名が『カローラ』でありましょう。

強豪ひしめく世界の自動車産業に日本のメーカーが挑戦状を叩き付け、地道な販売戦略によって“安くて壊れない日本車”というイメージを確立した功績は非常に大きいと思います。

とはいえ、カローラは日本においては“凡庸”の象徴のようなクルマであり、カローラはあくまで最低ラインであって、よりステイタスのあるクルマにステップアップするための通過点と位置付けられてきました。

そのためクルマ好きからは嘲笑の対象であるばかりか、トヨタの中でさえもカローラに乗っていることをあまり誇らしいものとして扱われてはきませんでした。

そのカローラが50周年を迎え、トヨタが急にお祭り騒ぎを始めて盛り上げようとしていますが、傍から見ると何をいまさら…という気がしてしまうのは当方だけではないでしょう。



■販売台数No1へのこだわり
カローラは日本で一番売れたクルマでした。

発売当初は先発のマツダ・ファミリアや日産サニーなどと販売を競いあっていましたが、内外で確固たる地位を築いてからは1969年度から2001年度までの33年間、ずっと年間販売台数トップをひた走っていました。

…とは言っても、そのNo.1のカラクリとしては「カローラレビン」、「カローラバン」といった派生車種をまとめて「カローラ」の販売として合算していたこともあり、果たしてどれだけ価値があるかはわかりませんが、とにかく日本で一番売れているクルマとして、なんとなくクルマが欲しいという層をうまく巻き取ってきました。

しかし2002年にカローラセダン、フィールダー、スパシオ、ランクスを合計してもホンダの初代フィット一車種に年間販売で逆転されたことは非常に象徴的な出来事でありました。

日本人が求めるものは、もうカローラではなくなったのだ、と。


それと前後してトヨタは世界戦略車のヴィッツシリーズを新たな基幹車種とすることにシフトしており、カローラも海外仕様と国内仕様を明確に作り分けることでどちらかと言えば従来からカローラを支持してきた保守的なオーナー向けに細々と生き延びさせる道を選びました。

モデルチェンジにも迷いが生じるなど、昨今のトヨタにおけるカローラの扱いは50年の歴史ある車種としてはかなり残念なものであったと言わざるを得ません。



■カローラの功罪
とはいえ、こうした背景をもってカローラを一方的に責めるのは筋が違うと当方は考えます。

海外ではカローラといえば安くて壊れない高品質な日本車として長く愛されてきました。
何代ものオーナーに乗り継がれ、思い出が紡がれてきました。

それを象徴するようなCMを、トヨタ自身が作っています。

Many drivers. Many years.

今見ても絶賛以外の言葉が出てこない、素晴らしいCMです。


こうした海外の事情に対して、日本におけるカローラはとにかく買い替えさせることを最優先とする販売政策が採られてきました。

高度経済成長からバブルを経て90年代半ばのピークを迎える頃、買ってから3年の初車検のタイミングでクルマを買い替えることが当たり前のように新車がポンポンと売れていた時代でした。

カローラの代替え需要はもちろんありましたが、トヨタのセールスマンはカムリやウィンダム、系列を超えてマークIIやクラウンなどより上位のクルマにステップアップさせることに積極的でした。

そうした姿勢はカローラに乗り続けることがさも恥ずかしい事のようなトークとなって、相対的にカローラのブランドを貶める一端を担ったことは否定できないでしょう。(他にも圧倒的な営業車需要がイメージを悪化させた側面も…)

しかし、こうした姿勢があったからこそ新車が飛ぶように売れ、それがトヨタという企業を潤すことになりました。

自動車産業の好調は部品メーカーや関連需要を喚起し、日本という限られた国土に1億人程度の国が経済大国へとのし上がる原動力にもなりました。

エコカー減税や旧車増税など、新車に買い替えることを推奨する税制からも、日本は大切に長く乗ることより新車に買い替えることで経済を回すことが優先される国であることは今も変わりありません。

カローラはそうした日本の自動車産業の要求に応えてきたクルマであったと言えるわけです。



■50周年を祝う資格がトヨタにあるのか?
そんなわけで、カローラというクルマに愛着を持つオーナーの絶対数は、その圧倒的な販売台数に比べて極端に少ないと言うことができます。

みんカラなどを覗いても、長く乗り続けたのにほんの数年前に乗り換えてしまった元オーナーさんなどが目立ち、現在も所有しているというオーナーが少ないことが見て取れます。


初代カローラを大切に維持し続けていていたり、レビン等のスペシャリティ溢れるカローラを維持しているオーナーはいても、80年代から90年代ぐらいのなんの変哲もないカローラを乗り続けているオーナーは極めて少ないのが現状です。

このような状況を作り出したのはトヨタ自身であり、50周年だからといってギネス級のカローラ(花冠)を作ってはしゃいでいる姿にはどうしても違和感を感じざるを得ないわけです。

それよりも、日本のモータリゼーションにおいて最も多くの思い出を作ったであろうカローラなのだから、その想いをまとめて人々の心の中にあるカローラ像を可視化することが50周年を祝うのに相応しいのではないでしょうか。

その意味で、この特設サイトの「STORY」ページはとても素晴らしい取り組みだと思いました。

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パレードといったリアルイベントも結構ですが、今はカローラを離れてしまった元オーナーの声も広く集めて、このSTORYページをもっともっと充実してもらいたいと願う次第です。
特にカローラの存在意義が揺らぎ始めた90年代以降のモデルのオーナーの声を集めるべきだと思います。

日本の自動車文化を語るうえでカローラとそのオーナーの思い出はとても大切なものなのですから。




ちなみに当方のカローラの思い出は、こちらです。

海外仕様のようにサイドインパクトビームがちゃんと入ってたら、ケガはもう少し軽かったのかな?と今でも思う次第でありますw

posted by 海鮮丼太郎 at 22:28| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月01日

2016年のグループPSAは世界のどこで売れたのか?




あとで追記する。





posted by 海鮮丼太郎 at 17:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする