クルマにおけるタッチUIの理想的なポジションは?

 
スマートフォンの流行により、タッチUI(ユーザインターフェイス)が一般的に普及してきた。
当然この流れはクルマの方にも押し寄せてきている。

しかし、タッチUIは画面を目視してタッチしなければならないという性格を持つ。
画面を目視するということは、運転中に視線を移すことを意味する。
つまり、運転中に画面を見て操作することによる事故のリスクは大幅に上昇する。

従来のエアコンやオーディオの操作に物理スイッチが長らく用いられたのは、ブラインドタッチである程度の操作が可能だったからだ。
ボタンやレバーの凹凸から何のスイッチがあるかを見なくてもある程度判断し操作できること。
3ダイヤルを基本とした欧州車やマニュアルエアコンの操作パネルは非常にシンプルかつ操作しやすくUIとしては理想的だった。

しかし、オートエアコンや左右独立コントロールなどエアコンも多機能になるにつれ、操作パネルも複雑化してしまい、運転中の操作の危険性が指摘されたるようになった。


そんな中で、流行に乗る形でタッチUIが増えてきていることは危惧している。
運転中に視線を外して機器を操作しなければならないUIというのは、こと自動車というプロダクトにあっては本来あってはならないことだ。
ナビの普及過程においてもそうしたことは議論されてきた。

デバイスの進化によりどれほど便利になろうとも、人間の認知判断能力がそう簡単に進化するものではない。
たとえば三菱ek/日産DAYZのこうした操作パネルは、そうしたことにどこまで配慮しているのか?

DAYZ_airconUI.jpg

DAYZ/ekワゴンのナビの設置場所は良いところに付いているだけに、エアコンの操作パネルがこの位置にあることの意味をどこまで深く考えているのか疑問が残る。
(実車をまだ見てないので、この部分の評価は変更になる場合アリ)

[2013.8.1補足]
DAYZの実車でチェックしてきた。
タッチ表面にわかりやすい凹凸は付けられておらず、ドライビングポジションを取ってから操作しようとすると明確に視線を落とさなければならないことを確認した。
操作中は音で知らせる機能もあるため、まったく配慮がされていないわけでは無いものの、やはり慣れで済む問題ではないという認識を持った。

このタッチUIは不親切というより非常に危険だということを、当BLOGの主張として明確にしておく。
マニュアルエアコン仕様は通常のダイヤル式UIのため、こちらは問題ない。



海外でも同様のコンセプトが増えつつある。たとえばプジョー208は9.7インチのディスプレイにナビやオーディオのコントロールを集約している。
その次に出てくる次期308は、それに加えてエアコンのコントロールもディスプレイに統合して、従来の物理スイッチがほぼなくなっている。

Peugeot-308_2014_800x600_wallpaper_0f.jpg
▲次期308。エアコン吹き出し口を工夫してディスプレイ位置を高めにした。

車内インフォテイメントの流れは止めようがないので、これらをすべて否定するつもりはないが、運転中に視線を移動させなければならないことに変わりがない以上、せめてタッチUIは視線移動が少ない場所で操作できるようにするのが望ましい。

ベターなポジションはセンタークラスター上部あたりだろう。
間違ってもDAYZ/ekワゴンのように従来のオーディオやエアコン操作パネルの場所を単にタッチUIに変えるようなものであってはいけない。

たとえばこれは7代目ゴルフだ。

GOLF7_inpanel.jpg
▲ゴルフVII。エアコン吹き出し口の下に操作ディスプレイがある。

GOLF7_touchUI.jpg
▲ゴルフVIIもタッチUIを採用した。

エアコン吹き出し口の下にタッチディスプレイを配置している。
その分操作するためには視線を落とす必要がある。
タッチUIのディスプレイの設置位置としては、次期308の方がゴルフVIIより優れていると言えるだろう。

このあたりはトヨタがセンターメーターでいろんなトライアルをしてきたのでノウハウを持ってるはずなんだが…

2ndPRIUS_inpanel.jpg
▲2代目プリウスのディスプレイ配置。ほぼ理想的。

3rdPRIUS_inpanel.jpg
▲3代目プリウス。2代目に比べてディスプレイ位置が下がり視線移動が増えた。

3代目プリウスでは若干であるが視線移動が2代目より増えている。
エアコン吹き出し口の位置を変えたからだろうが、改悪してどうする。

結局のところタッチUIに最適なポジションは、理想的なナビの取り付け位置という話に行き着く。
日本車はナビの普及が早かったこともあり、視線移動の少ない場所にナビを設置する車種が増えため、今後もその場所がタッチUIと統合されたものになっていくだろう。
それに対して欧州車の中でも進んでいそうなVWでさえ、そのあたりに中途半端な印象を受ける。

繰り返すが、車内インフォテインメント化の流れは今後さらに加速する。
しかしそれに伴いドライバーが操作に気を取られて危険な事態が増えることだけは絶対に避けなければならない。
便利と安全はトレードオフではないからだ。

各メーカーにはそうした基本的なところをしっかり押さえつつ、新しいテクノロジーの導入を進めていってもらいたい。
 



この記事へのコメント

  • k100rskai

    こんにちは
    DAYZ/ekワゴンのパネルですが、これを知った時にはホントにええんかなぁ~と、驚いてしまいました(実車は見てません)。
    タッチパネル式でそれもあんなに低い場所で・・・。エアコンの情報がインパネの高い位置にあればまだマシなんでしょうけど。
    メーカーとしてはオートエアコンだから走行中は殆ど触らないと思っているのでしょうかね??
    2013年07月25日 11:06

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