こども電話相談室は、子供と向き合うことができるか?(2)

10月5日からスタートする、全国こども電話相談室・リアル!
今までの路線を大幅に変更、対象を小学校高学年から中学生までとし、思春期+このご時世特有の悩みに対応する“リアル”な番組にしていこうという狙いか。
逆に言えば、今までのこども電話相談室は、リアルではなかったということになるんだろうか?

それはさて置き。


かつて、対象年齢層はちょっと上だったが、中高生と真正面から向き合う伝説的な番組があった。その名も、『後藤鮪郎(ごとうまぐろう)の正義のラジオ!ジャンベルジャン』。
パーソナリティは愛知県の現役高校教師でありインディーズで『neon』というロックバンドをやっていた後藤鮪郎が、自らニッポン放送に企画を持ち込み、実現させた番組だ。
『正義のラジオ ジャンベルジャン』といえば一般的には、叫ぶ詩人の会のドリアン助川での知名度が高いようだが、元々は後藤鮪郎が始めた番組だった。

正義のラジオがスゴかったのは、生放送で悩みを抱えるどちらかといえば虐げられることの多い中高生の相談にガチンコで対応していたことに加えて、普段虐げる側(悪さをする側)もよく電話を掛けてきたところだ。
もちろん、その行動を諭すようなこともあるが、途中からエキサイトしてくると、

電話:「苛めの何が悪いんだよ。」
鮪郎:「苛められる側の痛みがお前にはわからねーのかよ。」
電話:「そんなの、苛められる方が悪いんだろ。」
鮪郎:「苛められる側に原因があったとしても、弱い奴をこずいて何が楽しいんだよ。」
電話:「別に。おもしろいじゃん。」
鮪郎:「おめーなんか、そのうち誰にも相手にされなくなるんだぞ。」
電話:「そんなことねーよ。」
鮪郎:「あぁ、そうやってくだらない人生を過ごせばいいんだよ。」
電話:「別にいーじゃんか、一人だって。」
鮪郎:「お前なんかいなくたって誰も悲しまねぇよ。そのまま勝手にグレてやがれ。」
電話:「ふざけんなよバーカ。」
鮪郎:「バカにバカ呼ばわりされる筋合いはねぇよ。」
 
記憶を頼りに書いてるので正確ではないが、おおよそこのようなやり取りが平然と行なわれていた。
解決にも何もなってないが、バカに対してはハッキリとバカと言うその姿勢に、苛める側の子供もどこかで叱ってほしい、構ってほしいという心理があったんだろう。
番組中、結構な数の苛める側の出演があった事を覚えている。

このように、後藤鮪郎の妙な熱さ、いや妙な暑苦しさが、リスナーだった中高生に大いなる共感を呼んだ。
ちょうど社会人になったばかりのおいらも、友人とドライブ中にたまたまこの番組を聴き、あまりの熱さに番組終了までドライブを延長して聴き入ったものだ。
その後、毎週土曜日の夜はドライブしながらこの熱い番組を聴くのが習慣になっていた。

後に後藤鮪郎が教師をしながらラジオに出演していることが愛知県教育委員会で問題となり、後藤鮪郎は降板せざるを得なくなり、パーソナリティーの座をドリアン助川に託すことになったのだが、その話はまた別の機会にでも。

こうした番組で必要になのは、いかに子供たちの本音を引き出すか、ということ。
この年代の子供たちは、思春期ゆえに親の干渉を必要以上に嫌がる。
なぜ深夜放送が10代にウケるのかというと、夜は親の干渉を受けにくい時間帯だから。
自分だけの時間に、自分の話しを聞いてもらえると思うから、リスナーはラジオに耳を傾けるのだ。
夜には夜なりの、理由があるわけだ。

しかし、子供電話相談室・リアル!は朝の番組であり、今までの親の世代である大人リスナーがそのままスライドして聞いている。
それがひとつの心理的負荷になって、本音を打ち出しにくい事態になりはしないか。
それともうひとつ。
たとえ、本音のリアルな相談事がが放送されると、「青少年が聴くのにふさわしくない番組だ!」とかいってクレームをつけてくる可能性がある。っていうか、多分そうなるでしょ。
今の小中学生が抱える本当の悩みをストレートに打ち明けたら、今まで「なんでカブト虫の幼虫は柔らかいの?」的な質問だらけだったこども電話相談室の大人リスナーにとっては刺激が強すぎるだろうから。

山本シュウという人選は決して悪くない。というより、この切り口で語れるのは彼ぐらいしかいないだろう。
だからこそ、山本シュウの持ち味をフルに発揮できるような番組づくりを心がけてほしい。

あらかじめ用意された質疑をこなすのではなく、本当の悩みを打ち明けてもらい、それに対して上っ面だけでない本音の回答をする。
そうした信頼関係を作れなければ、子供と本当に向き合うことにはならないだろう。

特にいじめの問題についてはかなりのウェイトを占めることが予想されるが、あえて苛める側の心理をきちんと扱うことが、まずは重要なんではないかと思う。

正義のラジオというすばらしい前例があるのだから、それを超えるような番組作りを。

45年の歴史に幕を閉じて、TBSラジオはこども電話相談室をどのように生まれ変わらせようとしているのか。
まずはお手並み拝見といこうか。

第一回目の放送は、10月5日(日) 9:00~9:55だ。
 
 


この記事へのコメント

  • 七誌

    ニッポン放送が一番元気良かった頃ですな。
    ドリアン助川もそれはそれで味があったかと。
    その後の福山はなんだかなぁ、だったけど。
    2008年10月03日 19:04
  • 七誌

    で、聞いてみてどうだった?
    2008年10月06日 21:37
  • 私の高校時代の副担人が後藤先生でした
    先生は理系で私は文系専攻だったのでホームルーム等しか接点がなくラジオの存在も知らなかったので聞けなかったのが残念です。
    後藤先生は穏和な印象なのでラジオやバンドで活動のイメージがわかないですね。
    2017年11月14日 11:41
  • 後藤鮪郎

    普通に会えるよ
    2019年01月28日 13:42
  • 海鮮丼太郎

    >後藤鮪郎先生

    コメントありがとうございます!
    驚きと感激で気持ちの整理がつきません!!

    記憶を元に書いたエントリー、かつリスナー側からの勝手な思い込みの部分もありますが、当時熱い思いでラジオに耳を傾けていたことを思い出しました。

    現在も音楽活動を継続されていること、リンク先より拝見させて頂きました。

    3月の渋谷にはぜひお伺いさせて頂きたいと思っております。

    また、機会があれば当時のラジオをやっていた頃にどのようなお考えであったのか、お話をお聞かせいただけることができますと幸いです。

    まずはお会いしてご挨拶させて頂ける日を楽しみにしております!
    2019年01月28日 16:04

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