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2017年05月11日

新型3008はプジョーの集大成のようなクルマだった(2)



原稿を未完成のまま寝かせすぎて鮮度が落ちてしまったので簡略版で公開します。
本当はこの3倍のボリュームがありましたw

ってことで

新型3008はプジョーの集大成のようなクルマだった(1)

の続きとなります。5ヶ月も経って続きも何もあったもんじゃないですが。


2016年末に先行して発表され全国キャラバンが行われた新型3008でありますが、ガソリンエンジン仕様だけを台数限定で販売という妙な形で販売がスタートしました。

で。

売り方について言いたいことは山ほどありますが、商品としての新型3008は新世代プラットフォームと新たなデザインフィロソフィーによる提案が高度な次元で成立した、プジョーさんの歴史の中でも割とエポックメイキングなクルマになるのではないかと思いました。


■インフォテインメントのお手本としてのi-Cockpitのデザイン
新型3008を個人的に最もオススメしたいのがこの第2世代i-Cockpitのデザインです。

この件について書くには当方が運転席周りのデザインについてどう考えているかという背景から説明しなければなりません。

そのため、まずはこちらのエントリーにお目通しください。

クルマにおけるタッチUIの理想的なポジションは?



プジョーさんは欧州車の中では比較的早く2012年に発表した208において大型のタッチディスプレイを採用しました。

new208_interrior.jpg
▲208のセンターコンソール

208のセンターコンソールは従来低い位置に配置されることの多かったモニタを運転視界に近いところに配置しております。

ちなみにその前の207はこんな場所にありました。

207jp_interrior.jpg
▲207(日本仕様)のセンターコンソール

207uk_interrior.jpg
▲実は207の欧州仕様のモニタはちゃんとした位置にあるんですけどね…



208は音楽機能などはタッチ操作になったもののエアコン操作は従来通り物理スイッチを併用しており、運転中の操作にそれほど大きな問題は発生しないデザインとなっております。



そして翌年の2013年に2代目となる308がデビューしました。

新型308から運転席周りの新しいデザインを“i-Cockpit”という名称でアピールし始めました。
(後に208もi-Cockpitの呼称を使用)


308_interrior.jpg
▲308のセンターコンソール

特徴的なのは208と同様、タッチスクリーンを運転目線に近いところに配置した点ですが、新型308の良いところはエアコンの吹き出し口をモニタの左右に配置することで、モニタの設置場所を高く出来た点にあります。


とはいえ小径ハンドルとその上から覗き込むメーターというレイアウトは共通性があるものの、センターコンソールの思想については新型308と208ではまったく異なったアプローチを見せました。

208は必要最低限の物理スイッチは残しましたが、新型308は極力スイッチを排し、大型タッチスクリーンに機能を集約する手法を取っています。


デザイン的な見栄えでは新型308のスッキリした感じはエレガントな雰囲気を漂わせることに成功してはおりますが、タッチスクリーンの階層メニューが複雑になっており目的の操作に辿りつくのが面倒という声をよく聞きます。

実際、当方が触ってみても洗練度が足りない印象を受けました。

これは何も308に限った話ではないのですが、インフォテインメントとして機能が増えれば増えるほど階層メニューの操作が複雑になってしまいます。

その解決のための提案として新型308は「エアコン」や「サウンド」「設定」といったよく使う機能のショートカットを大型タッチスクリーンの左右に配置しています。

20141109005.JPG

しかしこれは物理スイッチではなくタッチパネルであるため、操作をするのに目視での確認が必要となります。

つまり、運転中にエアコンの操作をしようとすると、どうしても目線をモニタに移す必要があるということです。


運転中に操作する可能性が高いタッチスクリーンの操作が複雑化すると、画面に気を取られて事故を起こす可能性が高まるため非常に危険であるというのが以前からの当BLOGの主張です。

“技術は人を傷つけてはならない”

安全性と利便性はトレードオフの関係ではないのです。


機能の複雑化は目を瞑るとしても、せめて運転中はタッチスクリーンへの視線移動と操作時間を最小限にすることが運転席周りのUI(ユーザインターフェイス)の開発においては最優先事項であるべきです。

その意味でカーナビの普及が早くそのあたりの知見が多い日本車メーカーがスクリーンををダッシュボード上部に配置するデザインを採用しており、これは世界的に見ても高く評価されるべきポイントです。

また一貫性は欠くものの、トヨタがスピードメーターなどをステアリング正面ではなくダッシュボード中央に設置する、いわゆる「センターメーター」の取り組みは情報が複雑化する流れの中では賞賛されるべきチャレンジだと思います。

完全自動運転時代まであと数十年掛かるわけですし、それまではあくまでドライバーが運転に集中できる環境=よそ見による事故を防ぐ環境を作ることが最優先であるべきです。


参考までに最新の日本車のデザインを確認しておくことにしましょう。

newCX-5_interrior.jpg
▲新型CX-5のセンターコンソール


他にも軽自動車を含むほとんどの日本車が運転目線に近いところにモニタを配置しており、この辺りの知見では世界のトップレベルにあることがわかります。

4thPRIUS_interrior.jpg
▲4代目プリウスのセンターコンソール

ただし4代目プリウスはセンターメーターこそ理想的な位置にありますがタッチモニタの位置が先代より下部に配置され、操作性で退化してしまっています。
危険というほどではありませんが、褒められるレベルではありません。



■ジェット機のコックピットを模した初代3008のデザイン
さてここで話はガラっと変わります。

初代3008は外観こそMPVとハッチバックのクロスオーバーでありキャラクター的にはカピバラに例えられる、どちらかといえはファニーな印象でした。


しかし運転席周りのデザインは従来のプジョー車とは異なりドライバーが運転席に包まれるようなパッケージングとなっており、そこにアクセントを加える形で7連トグルスイッチが配置されておりました。

プジョーさんはこれを“ジェット機のコックピットを模したデザイン”と宣伝していました。


男の子的にはこの手のギミックは大好きだったりするわけですが、トグルスイッチを含めたコックピット感の演出はBMW MINIがさらにその何枚も上手の演出を仕掛けてきました。

BMW_MINI_Toggle_Switch.jpg
▲BMW MINIのトグルスイッチ


プジョーさんの7連トグルスイッチに割り当てられた機能も、必ずしも必然性が感じられるものではなく…

old3008_toggleswitch.jpg
▲先代3008の7連トグルスイッチ

左から

 HUD(ヘッドアップディスプレイ) ON/OFF
 HUD照度調整
 HUD角度調整
 ハザード
 ディスタンスアラート 警告時間設定
 ディスタンスアラート ON/OFF
 ドアロック

といったもので、トグルスイッチの演出と実際に割り当てられた機能にはイメージ的に開きがあったのは事実であります。

トグルスイッチというのは罪なもので、男の子にとっては変形やら特殊武器の発射やら加速装置やらといった、ある種の「特別なギミック」を実行するトリガーであるとDNAレベルに深く刻まれているのです。

特にジェット機のコックピットなどと表現してしまった以上、HUDの角度調整では満足感は得られません。

BMW MINIとは掛かっているコストがまるで違うので同列比較するのは可哀想ではありますが、演出の仕方はもう少しなんとかならなかったのか?という思いも抱いてしまいます。

実際、このトグルスイッチを積極的に使っているオーナーさんはどれぐらいいるんでしょうか?



■対象的なVWのアプローチ
話を新型308に移します。

今でこそVWのゴルフを相手に立派に存在感を発揮するまでに至った新型308ですが、当初はi-Cockpitのアピールに苦心しているように思われました。

タッチスクリーンの階層メニューがあまり洗練されていない点についてはすでに書きましたが、そのスクリーン位置は運転中に目視、そして手を伸ばして操作するのに絶妙の場所に設置されていることを当BLOGでは高く評価していました。

簡単に言えば、エアコン吹き出し口よりディスプレイが上部に設置されていれば合格。
エアコン吹き出し口より下にモニタが設置してるのはNGという評価を与えていいと思います。

新型308はモニタの左右にエアコン吹き出し口を配置しており非常に合理的なデザインであります。

これに対して世界的ベストセラーでありVWのフラッグシップでもあるゴルフはどうなっているでしょうか?


VWゴルフはマイナーチェンジを受けてもディスプレイ位置がエアコン吹き出し口の下にあり、タッチ操作も必然的に視線を下げざるを得ません。

vw-golf-old-vs-new-interior.jpg
▲VW GOLF(7代目)のセンターコンソール(MC前/MC後)

最新のSUVであるティグアンでも同様のデザインとなっております。

newTiguan_interrior.jpg
▲新型ティグアンのセンターコンソール

オートックワンのティグアン紹介記事の渡辺陽一郎さんの写真を見て頂ければ、当方が何を言いたいのかご理解頂けるかと思います。(視線の矢印は当方で加工)

nerTiguan_watanabe.jpg

“運転中にタッチ画面の操作はしてはいけない”なんて建前の話はどうでもいいんです。
現に操作出来てしまう以上、人間は運転中でもタッチ操作のために画面を見ます。

だからこそ、そのような状態でも出来る限り危険な状況にならないように配慮するのがUIの基本であるわけです。

フェイルセーフ&フールプルーフの発想です。

“Volkswagen Car-Net”が機能的に素晴らしいという点に異論はありません。

しかし機能的に優れていれば当然その機能を使う回数も増えるわけです。

カーナビ画面に限らず頻繁にモニタを見てタッチ操作を行うということを想定した場合、残念ながらVWが運転中の視線移動について真剣に取り組んでいるとは当方にはどうしても思えません。



■第2世代i-Cockpitは過去のトライアルの集大成
さて、ようやく新型3008の話になりました。

新型3008は第2世代i-Cockpitと称されたデザインを売りにしておりますが、これはプジョーさんが208からトライアルしてきた様々な取り組みのまさに集大成とも言えるデザインと解釈しました。

初代3008=7連トグルスイッチによるコックピット感の演出
208=理想的なディスプレイポジションを確立
新型308=タッチディスプレイに機能を集約

では、新型3008は…?

 ・理想的なディスプレイポジション
 ・さらに複雑な機能が集約されたタッチディスプレイ
 ・7連トグルスイッチに主要機能のショートカットを割り当て

new3008_interrior.jpg

当方が新型3008をチェックして一番感心したのが、7連トグルスイッチの演出を実用的な機能に再定義した点でした。

革新的なアイディアではありませんが、i-Cockpitが単なる目新しさの演出ではなくインフォテインメント時代に安全性と実用性を兼ね備えた、非常に意欲的な提案だと思います。


タッチスクリーンでできる機能をあえてショートカットとして7連トグルスイッチに割り当てることは、一見するとムダに感じられるかもしれません。

また、新型308では物理スイッチを極力排してエレガントなダッシュボードを演出したのに、それに逆行するような動きでもあります。

ショートカットの発想は新型308のタッチパネルの左右にも8つのショートカットが設置されているためまったく新しいアイディアではありません。
しかし新型308のショートカットはタッチパネルの一部であり、そこにアクセスするためには画面を注視する必要がどうしても発生します。

それに対して7連トグルスイッチは物理スイッチであるため、慣れれば手探りで目的のスイッチをONにすることができます。

可能であればこのスイッチへの機能の割り当てがユーザ自身でカスタマイズできると面白いと思うのですが、まずはこうして運転中に画面を見なくても主要な機能へのアクセスが物理スイッチによって可能になったことを大いに称賛したいところであります。

昨年末の目黒のキャラバンでマーケティングの方にこの点を指摘して最大限にアピールすべきというお話をしたのですがどうもピンときてなかったようであります。

普段運転しながらなに考えてるんですかね?

ってことでミッドタウンでお会いした中の人にはこの点を熱く語っておきました。
その真意が伝わってるかは定かではありませんがw



そんなわけで、新型3008を検討される方は試乗の際に運転視線からタッチパネルに目を向けてみてください。

そして競合として検討しているクルマで同じことをしてみてください。

その時、視界に何が写っているか。

その答えがi-Cockpit 2.0であるわけです。



P.S.
蛇足ですが。
上記はあくまでモニタ位置と物理ショートカットスイッチは絶賛していますが、肝心の機能面については触れていません。

昨年末に聞いた日本語ローカライズの修正が間に合ってないとか、CarPlay&Android Auto正式対応はどうなっているのか?といった点も含めてまだまだブラッシュアップすべき点が多々あるのも事実です。

この部分の完成度をどれだけ高めることが出来るかが、今後のi-Cockpitの評価を左右する重要なポイントだと当方は考えています。

  
ラベル:3008 2nd
posted by 海鮮丼太郎 at 00:00| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする