BLOG RANKINGに参加しております。
訪問記念に押してってくらさい。⇒⇒⇒
ブログランキング・にほんブログ村へ

2017年02月15日

プジョーさん、オペルの買収を検討中

s1.reutersmedia.net.jpg

GM in talks to sell European auto business to Peugeot

やはりというかなんというか。

GMグループにおける欧州部門を担ってきたオペル(&ヴォクソール)をグループPSAが買収の検討中という報道が流れて最初に感じたのは「やっぱり来たか」というものでした。

一般的なイメージとしてGMがアメリカンマッチョの体現だとすれば、オペルは欧州エレガントを担うまったく別の思想を持つメーカーであり、一時期は日本でもその存在感を発揮したこともありました。

ドラマ「ビューティフルライフ」で常盤貴子が乗る赤いヴィータ(欧州名:CORSA)が爆発的なヒットになったり、ザフィーラがスバルに「トラヴィック」の名前でOEM供給され、日本車にはない走りとパッケージングの良さに驚いた人も多かったのではないでしょうか。



■ある意味ガラパゴスな欧州市場
欧州市場は商圏が広く貧民向けの大衆車から超高級車まで幅広いニーズがあるのは確かなのですが、クルマに対する要件のレベルが高い(あらゆる道路環境に適応することが求められる)傾向にあります。

競争も激しく、利益を出すのが非常に難しい、世界で一番厳しい市場とも言えます。

日本市場がガラパゴスなどと揶揄されることもありますが、北米、中国といった巨大な市場に求められるものとも異なり、欧州市場もそれはそれで一つのガラパゴスであるとも言えます。

とはいえプロダクトの“走りの品質”という意味では世界で一番高いレベルが要求されることもあり輸入車信仰、とりわけ欧州車が憧れの対象となるのは必然でもあったりするわけです。


そんな欧州市場で競合と対等に渡り合うためにオペルは様々な努力を重ねてきましたがずっと赤字体質から抜け出せず、何度もGMから再建の圧力が掛かりました。

リーマンショックで2009年にGMが破たんした際、オペルをカナダのマグナ社に売却しようとしたのは記憶に新しいところです。

結局マグナ社への売却は土壇場でキャンセルされましたが、GMがオペルを手放したがっている事は周知の事実でありました。



■過去にもあったPSAとオペルの提携話
その後GMもオペルの再建を目指し、コスト削減を進め工場の閉鎖などあらゆる手を打ってきましたが、そんな中でPSAとの提携話が持ち上がりました。

2012年のことです。

GMとPSAの提携に関する件


GMがPSAに出資する資本提携の形を取ることで

(1)プラットフォーム、コンポーネントおよびモジュールの共有化
(2)グローバルな購買合弁事業の創設

という目論見が立てられました。

これにより量産効果を高め調達コストを削減することが可能となり、経営の苦しかったPSAとGM双方にメリットを生み出すものと思われていました。

そしてこの方針が具体的に5つのプロジェクトとして掲げられました。


PSAとGMが具体的なプロジェクト立ち上げへ

 1:共有プラットフォームによる大型セダンの可能性の検討
 2:共有プラットフォームによるコンパクトMPVセグメントの可能性の検討
 3:ラテンアメリカ市場向けコンパクトカーの可能性の検討
 4:低Co2排出を目的としたスモールカープラットフォームの共同開発
 5:DCTの共同開発によるコスト削減


とはいえそれぞれメーカーとして描く未来像も異なるわけで、一部で手を結びつつも根幹に関わる先進技術は渡さない、などという姿勢も見せていました。

PSAも先進技術への投資の失敗と経営危機に陥っていたのでこの辺りの提携効果をどう高めていくかはいろんな紆余曲折がありました。

外堀が埋められつつあるプジョーさん


PSAとGMの提携話が進展していない?


一部車種の共同開発という話が出たりはしたものの、全体的に2012年3月に発表した提携話が10月になっても具体的なビジョンを提示できない異常事態となり、ついにはPSAとオペルの統合が検討されるという事態になりました。

2012年10月末の話です。

PSAとオペルが統合を模索


この時は

 ・PSAへのオペルの売却
 ・GMによるPSAの買収
 ・両社統合を前提とした合弁企業の設立


の3つのプランが検討されました。

経営危機に陥ったPSAを誰がどう支援するか?という話も絡んでおり、フランス政府が支援に乗り出すなど企業間だけの話で済まなかったこともあり、結果として実現には至りませんでした。

そして2012年11月にはオペルとの統合の話を凍結しています。

包帯ぐるぐる巻きで身動きの取れないPSA


ただしこの辺りからGMがPSAと明確な距離を取り始めました。

2013年になると中国の東風汽車によるPSAへの出資話がクローズアップされることになりました。

PSAとGMと東風汽車


オペルとの統合話と前後してPSAも生き残りをかけて資本提携先探しに奔走しており、中国資本の東風汽車と交渉しておりましたが、一度は不調で話が流れたように見えたのですが…

2013年10月に入って話が大きく動きました。

GMがプジョーとの提携を縮小


一部の提携は維持されるものの、当初計画された大規模な効率化を目指した提携話からは大きく後退したことになります。


その後PSAもフランス政府と東風汽車からの支援を受ける形で何とか市場に踏み止まりました。

2014年に「Back in the race」のスローガンを掲げて戦線復帰を果たし、2016年に社名をGroupe PSAと変更して「Push to Pass」のスローガンによって競合に打ち勝つため、攻めの姿勢に転じました。

ですので2017年現在としてオペルとグループPSAを比較した場合、企業としてのストラテジーと規模は2012年当時とは異なるものになっております。



■GMが得るものと失うもの
クルマを取り巻く環境が大きく変容し、今後は電化技術と自動化という莫大な投資が必要とされる中で、利益貢献度が低く市場としても限定的なエリアである欧州市場をGMが切り捨てる判断をするのは非常に合理的でもあると思います。

市場規模としては圧倒的に中国、北米が大きく、そして今後の伸びしろが期待できる南米やインドを始めとした新興国があります。

最先端技術は北米、そして今後先進化が進む中国市場でスケールメリットが期待できます。

新興国向けには低コストで利益幅の大きい車種を投入することで利益が期待できます。

欧州市場にはスケールメリットも利益幅も期待することができません。

であれば欧州市場を切り捨てる判断に至るのは止むを得ない部分もあるでしょう。

自動車メーカーにとってグローバル化は必ずしも全世界をカバーするという意味ではなくなるということなわけです。

とはいえこれによりGMは年間100万台規模の売上を失う事になります。

それはすなわちトヨタ、VWグループと渡り合ってきた年間1000万台規模の自動車メーカーという称号を失う事も同時に意味します。


しかしそれでもなおGMがオペルを手放すとなれば、今後の自動車メーカーは単に規模を追求するのではなく利益をきちんと確保しつつ最先端技術への投資によりパラダイムシフトに対応するすべきだと判断したのだと思います。

少なくともGMはそう考えている、と。



■PSAが得るものは?
100万台規模のメーカーを傘下に収めることができれば、グループPSAとしては世界に対して大きな存在感を示すことができます。短期的には。

しかしオペル自体はGM傘下ではありますが先端技術に関してどれほどのポテンシャルがあるかは未知数です。

GMとの関係が切れれば特許を含めた先端技術がそのまま利用できるとも限りませんし、何より今まで別々で進めてきた先端技術をどうムダなく統合していくのか?という難しい舵取りが求められます。

まぁその辺りはGMと別の提携話に進んでいくのかもしれません。


いずれにしてもPSAが得るものはスケールメリットによる効率化でVWグループへの対抗の力を付けるというところでしょうかね。

幸いにしてプジョーが保守的に、DSが高級路線に、シトロエンが費用対効果を訴求するブランドになってますので、ここに

“かつてのプジョーを彷彿とされるちょっとチャレンジングな車種”

というキャラクターが加わるのは悪くないと思います。

Peugeot Sportのような位置づけであるヴォクソールのVXRシリーズは、頭のおかしい(褒め言葉)ハイパフォーマンスな車種を揃えており、この辺りはPSAのお行儀の良さとはまた違った魅力があったりしますので。

vehicles-vxr-gtc_vrx-VXR_23104-992x250.jpg

vehicles-vxr-maloo-exterior-VXR_24001-768x432.jpg

いずれにしても、このままPSAが買収の方向で話が進めばサーブのように消滅の道を辿らなくて済みそうなので良かったと思います。

現場の皆さんは心中穏やかではないでしょうが…

posted by 海鮮丼太郎 at 13:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月03日

おげんきですか?

anti_pollution_fault.jpg


おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。


ってことで、整備不良に起因する発生を除けば、当方のプジョーさんで初の症状となりました。

はい、プジョーさんお馴染みの『ANTIPOLLUTION FAULT』ですね。

どう対応するかは検討中。

検討中ったら検討中。

そういえば横浜青葉に新型3008のキャラバンが来てたな…
posted by 海鮮丼太郎 at 11:00| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月20日

2016年の輸入車市場を振り返る(2)

さて、ずいぶん間が開いてしまいましたが2016年の輸入車市場についてのつづきです。

前回は2016年の輸入車市場があと少しで30万台に達するところまで来ているという話をしましたが、もう少しトピック的な部分を掘り下げてみましょうか。


再掲になりますがこれがトップ20ブランドの前年対比実績です。

2015年は日本の輸入車の代名詞であったVWの販売をメルセデスが逆転したことが話題となりましたが、それに加えて2016年はついにBMWまでもがVWを抜き去るという衝撃的な結果となりました。



 2016年輸入車トップ20ブランド実績
メーカー2015年2016販売台数20152016順位
販売台数販売台数前年比順位順位前年比
Mercedes-Benz65,15967,378103.4%11
BMW46,22950,571109.4%32
VW54,76547,23386.2%23
Audi29,41428,50296.9%44
BMW MINI21,08324,548116.4%55
Volvo13,51014,553107.7%66
Jeep7,1299,388131.7%77
Peugeot5,9067,403125.3%108
Porsche6,6906,887102.9%89
Fiat6,0326,717111.4%910
Renault5,0825,303104.3%1111
smart1,0124,508445.5%1912
Land Rover2,9793,165106.2%1313
Jaguar1,3492,883213.7%1814
Ford4,8562,14344.1%1215
Citroen1,9782,009101.6%1516
Abarth1,4721,857126.2%1617
Alfa Romeo2,3211,76776.1%1418
Maserati1,4491,32391.3%1719
DS9251,129122.1%2020


■輸入車の代名詞ゴルフ、BMW MINIにその座を明け渡す
メーカー全体としては絶好調のメルセデス、BMWに対し苦戦のVWという図式が明白になっておりましたが、それを象徴するような数字があります。

以下はモデル別トップ20の推移です。

2016年にモデル別で一番売れた車種は長らくトップに君臨してきたVWゴルフを押しのけてBMW MINIがその座に就きました。


モデル別ランキングTOP20
順位メーカーモデル名201620152014
1BMW MINIMINI24,54821,08317,596
2VWGOLF22,80225,63531,410
3Mercedes-BenzC Class17,76021,03115,867
4BMW3 series11,94712,05015,835
5VWPOLO10,90312,27113,766
6BMW2 series9,8648,182データなし
7Mercedes-BenzCLA8,5578,0544,376
8AudiA3 series8,06310,60410,400
9Mercedes-BenzE Class7,9006,0978,938
10BMW1 series7,7248,0807,723
11Volvo40 series7,0057,0267,324
12Mercedes-BenzA Class6,9736,7529,461
13BMWX15,891データなしデータなし
14AudiA4 series5,807データなし5,641
15Volvo60 series5,4475,3164,796
16VWPASSAT5,0584,136データなし
17Fiat500/500C4,2294,3704,650
18Mercedes-BenzGLC4,1473,910データなし
19Mercedes-BenzS Class4,1155,8446,706
20VWThe Beetle3,9035,0437,251

モデル別とはいいますが、これはボディバリエーションも含めてという話になります。

■ゴルフに含まれるモデル
 GOLF(GTI/GTE/R含む)
 GOLF Variant
 GOLF Touran
 GOLF Alltrack

■BMW MINIに含まれるモデル
 MINI 3 DOOR
 MINI 5 DOOR
 MINI CONVERTIBLE
 MINI CLUBMAN
 MINI CROSSOVER

なんだかズルい気もしますが、日本でも昔カローラ○○(セダン、フィールダー、ランクス、スパシオ)といった派生車種を一まとめにして

『日本で一番売れている車はカローラ!』

ってやってたのと同じ理屈です。


こうしてみるとBMW MINIはすべて単一モデルとしてカウントできる分だけ有利ではありますが、しかし対するゴルフも日本における輸入車の代名詞として長らくトップに君臨してきたクルマであります。

2003年からの統計では、BMWの3シリーズに肉薄されることはありながらもトップを譲り渡したことは一度もありませんでしたので、その意味では非常に衝撃的な出来事ということができます。

ディーゼルゲート事件により本来取り込みたかった国産車からの乗り換え需要が一気に冷え込んだことと、ゴルフ自身がモデルライフ後半で鮮度が薄れたという事情も相まってトップから陥落したということになるのでしょう。

とはいえ今後MINIは

『日本で一番売れている輸入車はMINI!』

という宣伝文句を使えることになります。
このインパクトは結構大きいですね。


■上位モデルの構成比
理想論を言えば、メーカーがラインナップするモデルはどれもたくさん売れてほしいわけです。

コストをかけてラインナップに加えているわけですから、死に筋を作っては効率が悪いわけですね。

逆に言うと売れるのが一部のモデルに偏るのは好ましい姿ではないわけです。

では、各メーカーの売れ筋車種が売上全体のどれぐらいを占めているのかを見てみることにしましょう。

下記は条件を揃えるためにメルセデス、BMW、VWともに上位4車種の合計が全体の何%ぐらいを占めているかをまとめたものです。

 上位4モデル全体合計構成比
Mercedes-Benz41,19067,37861.1%
BMW35,42650,57170.1%
VW42,66647,23390.3%

こうして見ると各社の特徴が際立ってきます。

メルセデスは上位4車種を合計しても全体の販売のうち61.1%程度にしかなりません。
それに対してBMWは70.1%、VWに至っては90.3%にまで跳ね上がります。

これがどういうことを意味してるのかというと…

 ・メルセデスは売れる車種がたくさんある
 ・BMWは上位車種に偏重気味
 ・VWは上位4車種以外のラインナップがあまり売れない


事実、メルセデスはTOP20圏内に6モデルが入っており、5番手がGLCで4,147台、6番手がSクラスと4,115台売れていますが、これらを合計してもまだ73.4%です。

モデルラインナップがVWの19モデルに比べて2倍近い34モデルであることを考慮しても、残り26.6%がその他の車種で構成されており幅広い客層に支えられていることがわかります。

BMWはTOP20圏内に4モデルですが、従来の売れ筋であった1シリーズ、3シリーズ゙、Xシリーズに加えて昨年より本格展開の始まった2シリーズが台数増加に大きく貢献しています。

数字を見ると2シリーズが3シリーズの需要を食っているように見えますが、それでも従来は存在しなかったMPVスタイルのアクティブツアラー&グランツアラーが2シリーズに加わったことでBMWの主要モデルに成長したことが垣間見えます。

それでも残り3割は別のモデルが売れているわけですから客層は広いと言えるのではないでしょうか。
(BMWのモデルラインナップは35)

対するVWはゴルフ、ポロ、パサート、ビートルで90.3%となっており、それ以外の車種(up!、トゥアレグ、ティグアン、シャラン)がまるで売れていないということになります。

ティグアンがモデルチェンジ待ちで売るものがないという状況ではありますが、これだけ他社がSUVの実績を伸ばしている中、VWはSUVが極端に弱いという話になるわけです。

これは日本の施策というより本国の商品戦略の問題と言えるでしょう。

グループであるアウディがQシリーズなどSUVのラインナップが多彩ですがTOP20に食い込むほどの実績を上げていないわけですから、VWとしてもSUVラインナップを充実させたいところではないでしょうか。

そんなティグアンですが1月19日にようやく新型を発表しました。
360万円〜という価格設定となりますが、同じく2月に正式発表されるプジョーさんの新型3008とガチンコでぶつかる車種なだけにその動向が注目されます。

日本でのラインナップ補強を考えた場合、中国やアメリカ向けにティグアンのロングボディが設定されるようですが、トゥアレグが死に筋になりつつあるので代わりに導入を検討いたほうがいいんじゃないでしょうかね。

そうでなければ他社に客が流れるだけのような気もします。



■フレンチ4の戦い
前回のエントリーでもイタフラ車が元気だという話題を書きました。
なかでもフランス車4ブランドに絞ってみると一番活躍が目立ったのはプジョーさんでありました。



French4_sales_graph_2016.gif
▲クリックで拡大


2015年の東京モーターショーでクリーンディーゼルの導入を宣言し、2016年夏から一気に攻めの姿勢を見せ、それが年間7,403台(前年比125.3%)と堂々たる実績に繋りました。

昨年はその差824台まで猛追されたルノーさんを再び大きく引き離す格好となったわけですが、こうして見ると輸入車市場の中で“大衆クリーンディーゼル”というぽっかり空いていたパズルのピースをプジョーさんがしっかり埋めたことが成功の原因と言えるのではないでしょうか。

この“パズルのピース”という表現は当BLOGで何回か使っていますが、消費者の嗜好はまさにこのパズルのピースのようなものであり、例えば“女性に愛されるコンパクト”というピースをかつてプジョー206が埋めていました。

それが昨今ではこのピースをFiat500ががっちりと埋めており、これを覆すのは相当な労力が必要となります。

こんな感じで消費者の嗜好の中で長らく温められてきた大衆クリーンディーゼルというピースを国産ではマツダが埋め、海外メーカーではボルボとBMW MINIがかすりましたが、ぴったりと収まるものではありませんでした。

そこにシトロエンC4 BlueHDiが279万円〜、308 BlueHDiが299万〜という設定で投入してきたインパクトが大きかったわけですね。

シトロエンC4のディーゼルはデリバリーが後回しになっており実質的に308がPCJにおけるクリーンディーゼルの最重要車種に設定されたわけですが、こうして実績として出ているわけですから成功と言えるでしょう。

まさかVWにあんな敵失があるとは思いもしませんでしたが、何はともあれしばらくこのパズルのピースはプジョー&シトロエンが埋める形になるんじゃないでしょうか。

新型1.6L BlueHDiと、新型3008のBlueHDiを滞りなく供給することができれば2017年も好調を維持することができるんじゃないですかね。

シトロエンの話題が出ましたのでついでに触れておきましょう。

2016年は前半の販売低迷をC4カクタスとクリーンディーゼルが埋める形で落ち込みを防ぐことができました。
ただし初期ロットを台数限定にしたためいろんな問題点が噴出した年でもありました。

2017年はC4カクタスのエッセンスを採り入れた新型C3が発売になりますのでこちらに力を入れることになるのでしょう。

一部ではC4カクタスよりC3の方がいいんじゃね?という考え方があるようで、C4カクタスの販売に積極性が見られなかったのもこの新型C3を意識してのことであることが先日PCJの中の人と話していてわかりました。

しかし当方は少し違う考えでありまして、C4カクタスと新型C3の客層は確かに一部では被る部分があるものの、根本的に異なるものだと分析しています。

つまり、売り方をきちんとすれば両車とも異なる客層を獲得することができるため、トータルで見ればより多くの台数を販売できる可能性があるということです。

その意味で今のC4カクタスの限定販売は(欧州で売れているため日本への割り当て台数を確保できないという事情を差し引いても)もったいない気がしております。

くれぐれもC4カクタスが欲しいという客に無理矢理新型C3を売り込むような雑な商談はしないで欲しいと思う次第であります。

その意味ではPCJのオペレーション力とディーラーの対応力が問われる年とも言えるかもしれません。


それともう一つ忘れちゃならないルノーさん。

昨年お会いしたマサシIさんから興味深いお話を聞かせていただきましたが、ルノーに関しても決して楽な状況ではないものの日本市場における取り組みで様々な企業、個人の方との協力関係の下、細かいオペレーションを積み上げてルノーならではの魅力を訴求し続けています。

このあたりはPCJとは違ったインポーターの在り方としてむしろ好ましい状況と言えます。

隣の芝生は青く見えるもんですが、お互いを刺激しあってより魅力的な車種、施策を展開していただきたいものです。

なんだか奥歯にものが挟まったような書き方ですが、2017年のルノーも期待していいんじゃないかと思う次第です。

ただしアルピーヌ、おまえだけは信用ならん。

キナ臭い話が出回ってるようですが、ファンの信頼を裏切るようなことだけはしないでね。


■その他雑感
マセラティが前年割れですがオーダーから納車までのタイムラグを考えると必ずしも2016年を不信と言い切れる根拠は薄いのでは?

アルファロメオの落ち込みはアバルトがその役割を引き継ぎよりプレミアムな方向へ転換中なのでこんなもんでしょう。

ジャガーの好調で割を食ってるのがどこかを考えると楽しいですね。

スマートの躍進でメルセデスグループ vs BMWグループの争いがし烈になってきました。
これは後日改めてエントリーを書きます。


ってことでとりとめのない話が続きましたがオチが見えないまま2017年も引き続き輸入車市場に注目していくことにしましょう。


posted by 海鮮丼太郎 at 21:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月12日

空飛ぶカメラに託した夢

Lily_abandoned.jpg

新しいテクノロジーによってもたらされる素敵な未来に賭けてみたい。
クラウドファンディングはそういう夢とリアルをマッチングするシステムとして普及してきた。

昨今では単なる話題作りや詐欺目的での利用が増えてきて一時期ほどの熱狂は失われてきたものの、2015年のEngadget日本版の記事でLilyの事を知った時、直感的にこれは欲しい!と思った。


空撮ドローンではない飛ぶカメラLily 予約開始 ^o^ 自動追尾や回り込み対応、浮く防水仕様


日本円で7万円ほどだったが、これで撮影できるであろう映像への期待を考えたら、決して高いものではないと思った。

育児にお金の掛かるタイミングではあったが嫁に内緒でこっそりクラウドファンディングに応募して商品化を待つことにしたのが2015年5月のお話。

当初2016年初頭に発売予定とアナウンスされていたが、出荷が夏に延期となった。


└(└ ^o^)┘空飛ぶ自撮りカメラ Lily、40億円分の予約獲得。出荷は夏に延期


その間にも出資者に対しては開発状況が定期的にメールで報告されており、ゆっくりだが開発は進んでいるのだろうと思われた。

そして夏が過ぎ更なる延期がアナウンスされた辺りでちょうど我が家で電動アシスト自転車購入計画が立ちあがりお金が必要になったので、開発元に返金の要請をすることにした。

おもしろい空撮映像が撮れないのは残念だが仕方がない。

…とはいいつつなんとなく商品化に不安を感じておりこの辺で出資金を取り戻しておいた方がいいかもしれないという判断が微妙に働いたのも事実だ。


返金を巡ってはPayPalアカウントの本人認証手続きの大トラブルで大幅に遅れ、ちょうど年末に入金の確認が取れたばかりだった。
そして年が明けた今日、Lilyの開発元から商品化断念の案内が届いた。


The Adventure Comes to an End


 Dear Lily community,

Antoine and Henry here from the Lily team. When Lily set out on the journey to create a flying camera over 3 years ago, we were determined to develop and deliver a product that would exceed your expectations.

In the past year, the Lily family has had many ups and downs. We have been delighted by the steady advancements in the quality of our product and have received great feedback from our Beta program. At the same time, we have been racing against a clock of ever-diminishing funds. Over the past few months, we have tried to secure financing in order to unlock our manufacturing line and ship our first units - but have been unable to do this. As a result, we are deeply saddened to say that we are planning to wind down the company and offer refunds to customers (details below).

We want to thank you for sticking with us and believing in us during this time. Our community was the drive that kept us going even as circumstances became more and more difficult. Your encouraging words through our forums and in your emails gave us hope and the energy we needed to keep fighting.

Before we sign off, we want to thank all the people who have worked at Lily, who have partnered with us, and who have invested in us. Thank you for giving your all, nights, weekends and holidays, in the effort to deliver a great product.

After so much hard work, we are sad to see this adventure come to an end. We are very sorry and disappointed that we will not be able to deliver your flying camera, and are incredibly grateful for your support as a pre-order customer. Thank you for believing in our vision and giving us the opportunity to get this far. We hope our contribution will help pave the way for the exciting future of our industry.

Sincerely,
Antoine and Henry
Lily Founders 

クラウドファンディングで40億円分の予約を獲得し当初の開発費は確保したものの、商品化に向けての開発が難航し追加の資金調達に失敗したのが商品化断念の理由だそうでだ。

実現してればおもしろい製品だったであろうことを考えると残念ではある。 

出資者に対しては返金を予定しているというが、正直手元にどれだけ資金が残っているかが不明なためどうなるかはわからない。

その意味で当方は神がかり的なタイミングで逃げ切ったと言えるのかもしれない。

為替と手数料の関係で7000円ほど損した計算になるがとりあえず精神的なダメージは少ない。



しかし改めてクラウドファンディングによる商品化の難しさを垣間見た気がする。

かつて同様の仕組みで資金を集めつつ商品化に失敗した「MorphyOne(モルフィーワン)」の大騒動をゲラゲラ笑って見ていたが、危うく当方も似たような事態に巻き込まれる可能性もあったわけだ。


しかしいい夢を見させてもらったし、いい経験にはなったと思う。
機会があれば、またこうした夢に出資してみたいとも思っている。

バカがむやみにドローンを飛ばしたせいで強い規制が敷かれてしまったが、空撮がもたらすインパクトは計り知れない。

技術の発展によりLilyの遺志を受け継ぐ楽しい空撮ロボットが出てくることに期待したい。



posted by 海鮮丼太郎 at 14:25| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 鬱欲番長(review) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月11日

2016年の輸入車市場を振り返る(1)


JAIAより2016年12月の登録実績が発表され、これで2016年の年間登録台数が確定しました。

そんなわけで年初恒例の2016年の輸入車市場を振り返ってみましょうか。
(ここで言う輸入車は海外メーカーの意味となりますので、トヨタや日産、三菱などの逆輸入車は含まれておりません)

JAIAも自販連もなぜか国内メーカーの海外生産分を輸入車としてカウントしたがりますが、集計するのが面倒なので海外メーカーと国内メーカーで分けてくれませんかね?ホント。

ってことで自販連が発表した2016年輸入車登録台数は343,673台でしたが、純粋に海外メーカーだけで集計すると294,060台でありました。

悲願の30万台まであと6000台。
非常に惜しい数字でありました。

とはいえ2016年は輸入車市場はいろいろとショッキングなことが起こった年でもありました。

2015年9月に発生したVWのディーゼルゲート事件によりそれまで好調だった輸入車市場に冷や水をぶっかける形となり、その余波はまだ続いておりました。

新年早々に米フォードが国内市場から完全撤退を検討しているという速報が入り、まったく事情を聞かされていなかった日本法人が後追いするように事実を認める事態となりました。

結果的に9月末にはすべてのフォードディーラーが閉店し、アフターメンテナンスはPCIが請け負う形になりましたが、年間5,000台程度では日本で輸入車ビジネスを継続するのが難しいということが露呈した事件でもありました。

そしてVWは直接的な不正の対象ではなかったもののディーゼルゲートの影響から未だ回復できず前年割れを続ける中、その他の勢力が大きく数字を伸ばしたことで、市場全体で見れば前年比9,891台増(+3.5%)とという結果になりました。

これはVWが好調だった頃をさらに上回る勢いであり、1997年以来17年ぶりの30万台にあと少しまで迫る勢いでありました。

inportcar_graph2016.gif


それではトップ20ブランドの登録台数を見ていくことにしましょうか。
ってことでこんな感じです。


 2016年輸入車トップ20ブランド実績
メーカー2015年2016販売台数20152016順位
販売台数販売台数前年比順位順位前年比
Mercedes-Benz65,15967,378103.4%11
BMW46,22950,571109.4%32
VW54,76547,23386.2%23
Audi29,41428,50296.9%44
BMW MINI21,08324,548116.4%55
Volvo13,51014,553107.7%66
Jeep7,1299,388131.7%77
Peugeot5,9067,403125.3%108
Porsche6,6906,887102.9%89
Fiat6,0326,717111.4%910
Renault5,0825,303104.3%1111
smart1,0124,508445.5%1912
Land Rover2,9793,165106.2%1313
Jaguar1,3492,883213.7%1814
Ford4,8562,14344.1%1215
Citroen1,9782,009101.6%1516
Abarth1,4721,857126.2%1617
Alfa Romeo2,3211,76776.1%1418
Maserati1,4491,32391.3%1719
DS9251,129122.1%2020

■輸入車市場を支えたVW、ついに3位へ後退
メルセデスが盤石としか言いようのない好調さを維持し続けたのが2016年のトピックではありましたが、どっこいBMWも負けてはいませんでした。

多彩な車種とパワートレイン、お台場の戦略施設などあらゆる攻めの姿勢でVWの販売を追い抜き、ついに2位に返り咲きました。

BMWが売れていた時代を思い返すと、バブル期に“六本木のカローラ”などと呼ばれていた時期からバブル崩壊後の1994年までVWよりBMWの方が売れていた時代がありました。

それ以降は輸入車が大衆層に浸透する流れの中で再びVWが勢いを取り戻し両社の差はかなり開いておりましたが再びそれが逆転したわけです。

メルセデスの好調とあわせて、日本の高額自動車の市場がある種のバブル的状況になりつつあることの証左でもありましょう。

VWに関しては完全に守りの姿勢を取らざるを得ず、一時期乱発していた0%金利キャンペーンも最近はあまり目にしなくなりました。

全世界では販売台数1位となったVWも、日本市場で過度にシェアを高める必要はなくなったのかもしれません。

昨今の消極的なプロモーションからは、そのような姿勢が垣間見えます。

リコール騒動で多額の賠償金を支払う事になり開発予算も選択と集中を迫られ、脱ディーゼルの方針の中でPHEV/EVに深くコミットする覚悟を決めたようですので、そうした成果が花開くまではあまり華々しい話題は期待できないのかもしれません。



■昨年に続き圧倒的な強さのメルセデス
『盤石』という以外に表現のしようがないほど2016年のメルセデスは好調でした。

世界販売においても高級車販売においてBMWを追い抜いて1位になるなど、世界規模でイケイケな感じにも見受けられます。

とはいえ「メルセデスラーメン」に代表される昨今の一般ウケを狙った取り組みは、上野金太郎社長が順調に“ゴキゲン♪ワーゲン”化しており、危うさを秘めていることは言うまでもありません。


例えばメルセデスラーメンについて取り上げたTBSラジオの『現場にアタック』のコーナーでは既存のオーナーからは… 

「ちょっと嫌だ。安っぽくなった気がして、高級な車として購入しているわけだから、そのイメージを壊さないでほしい・・・。」

といった声が聞かれるなどこうした戦略が必ずしもメルセデスオーナーに受け入れられているわけではなかったりします。

多くの支持を集めて多くの人にクルマを買ってもらうためには大衆的な話題作りが必要であるのは事実ですが、メルセデスという高級ブランドのイメージを保ち続けることも大切であるわけです。

盤石なメルセデスに不安要素があるとすると、このイメージ戦略にあると言えるのかもしれません。



■存在感が希薄化するアウディ
Audiの存在感が薄れています。

打てる手を打っているとは思います。
しかし競合するBMWやメルセデスに比べて、その存在感はどうしても希薄に映ります。

ディーゼルゲートの影響がゼロとは言いませんが、ポルシェは前年割れしておりませんのでAudiの伸び悩みは他のところに要因があるようにも感じられます。

昨今のデザインに対する評判もどちらかといえばネガティブなものが多く見られる中、Audiは何を訴求したいのかが見えにくいのも一因かもしれません。

2016年は『Audi Sport』という新ブランドを立ち上げてよりプレミアムな体験を提供する取り組みを始めていますが、これらは数を売るより1台あたりをしっかり売って利益を確保する動きとも言えます。

その意味で数を追い求めるのではなくきっちりと利益を取っていく戦略に転換したと見ることもできるかもしれません。



■ボルボの伸びしろはどれぐらい残っているのか?
先進安全装備をいち早く採用することで輸入車の中でも確固たるポジションを確立したVOLVOでありますが、順調に販売台数を増やしています。

しかし新モデルの投入がある程度落ち着いた状況で今後販売を継続的に伸ばしていくことが出来るのでしょうか?

今年は東京モーターショーが開催される年ですが、既報の通りVOLVOはモーターショーへの出展を絞っており東京には出展しないことが明白です。

ではどういった戦略を採るのでしょうか?

どうやら販売網を充実する方向での投資を行うようです。

2017年1月中に富山、堺、福岡、徳島と4店舗を一気にオープンさせるそうで、従来手薄だった地方の店舗を充実させるフェーズに入った感じですね。

クルマは単なる商品ではなく身近に安心してメンテナンスを頼めるディーラーがあってこそ成り立つビジネスです。

その意味でVOLVOの戦略は正しいと思います。

これで2017年の販売がどう推移するか、見ものでありますね。



■元気いっぱい!イタフラ勢
輸入車市場の盛り上がりはドイツ勢の活躍だけではありません。

ありきたりな選択肢とは違った個性を求める消費者がJEEP、Fiat、Abarthといったイタリア勢、そして我らがプジョーさん、ルノー、シトロエン、DSといったフランス勢にもなだれ込んできています。
(JEEPはアメリカブランドですがFCAグループとしてプラットフォームを共有しておりイタフラにカテゴライズしていいかと思います)

どのブランドにも言えるのは個性のある車種を用意したことが販売増に繋がっているという点です。

FCAJグループの欲しいと思わせる限定車を次々投入する戦略は相変わらず冴えてますし、プジョー&シトロエンは何と言ってもクリーンディーゼルが279万円〜という戦略的な価格で投入することで話題作りに成功しました。

加えてC4カクタスの投入により久々にシトロエンディーラーに賑わいが戻ったのも記憶に新しいところです。

C4カクタスは内部の情報統制ミスにより情報が錯綜するgdgdがありましたが、追加ロットも抽選販売となり相変わらず供給が追い付かない状況ですから、もう少しうまくやって欲しかったとは思います。


ルノーもようやくトゥインゴの販売を開始することができ、前半の苦戦を後半で挽回した格好となりました。

兄弟車であるスマートが、メルセデスの強い意向で日本向けの生産ラインの大半を押さえてしまったためトゥインゴの日本への割り当てが少なくなるという逆境がありましたが、年末にはMT仕様のZENをリリースするなどルノーらしいラインナップが揃ってきましたのできっちりと売って頂きたいところですね。

ただしルノーはインフォテインメントや先進安全装備への対応が遅れています。

この辺りが2017年のボトルネックになりはしないかと若干の不安を感じざるを得ません。



(つづく)
posted by 海鮮丼太郎 at 17:41| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 車(Car&Culture) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする